うまくなるかも?

脱・初級中級者のためのロック・ギター開眼法

はじめに

 みなさん、初めまして! 鈴木浩憲と申します。一体何者なのかと言いますと、一応プロ(プロの定義にもよりますが)のミュージシャンです。本職はギタリストなのですが、作品は基本的に歌も含めすべて一人で創っております。

 このサイトの目的は、ギターを愛するみなさんの技術向上のお役に立てたら嬉しいな!ということと、何と言っても、自分の作品の宣伝です(笑)。否!二番目はどうでも良いです!! ギターを愛するみなさんと喜怒哀楽を分かち合うのが主旨で、みなさんのお役に立ちつつ、更にそれがきっと自分の役に立つであろうと考えたのでした。

 単にギタリストと言っても、クラシックなのかジャズなのかロックなのか判らないので説明しますと、私は1965年生まれで、ギターを始めたのは13歳頃。最初の約2年間はフォーク・ソング系の曲をやっていまして、当然アコースティック・ギターを弾いていました。まあ、スリー・フィンガーとかやってたわけです。ところで、私の家から2分の近所に住む友人がいたのですが、彼はこともあろうに、熱狂的な洋楽ロック・ファンであって、ある日、彼の家で私は天啓を受けてしまったのです!

 その友人は洋楽の中でも、ハード・ロック、ヘヴィ・メタル系が特に好きで、ある日聴かされたのが、マイケル・シェンカーの「神」というアルバム。同世代の人ならピンとくると思いますが、私はそこからロック・ギターにハマってしまったのでした。

 まず自分でもそのアルバムを買い(最初に買ったロックのアルバム、当時はもちろんレコードだよ~ん)、更にその友人に、“ロック・ギタリストのプレイが堪能できるアルバムを何か貸して!”と頼みました。

 さて、今思えば、この時にその友人が何をチョイスするかで、後の自分の人生(そんな大層なことかっ!?)が変わってしまったような気がするのですが、よりによって(?)彼はジェフ・ベックの「ワイアード」とレッド・ツェッペリンの「Ⅱ」を貸しやがったのです(笑)。ギターを弾いてる中学3年生男子がジェフ・ベックやジミー・ペイジのカッコよさに心を奪われないとでも? いや、そんなことは有り得ない!(反語表現) その時に、アコギをエレキ・ギターに持ち替えると心に決め、翌年の高校1年の時に念願のエレキ・ギターを手にし、ロック・ギタリスト・デビューを果たしたのでした。

 というわけで、そこからもう約30年の月日が経ってしまっていて、今日に至る経緯をずらずら書いていったのでは、読んでいるみなさんも気づいたら還暦を迎えていた!なんてことになりかねないので、簡単に言うと(笑)、私のギター・プレイはルーツにハード・ロック系のプレイがあって、現在もハード・ロック系のプレイだと思います。っていうか、最初からそう言えよっ!というツッコミはもっともですが、話を簡略化するために好きなギタリストやミュージシャンを挙げていくことにしますね。(最初からそう……以下略)

 まずは、好きなギタリストからいきます!

  • ジェフ・ベック
  • エディ・ヴァン・ヘイレン

 この二人は私の中ではダントツです。そして、好きというわけでもないけど、その功績というか実績を認めざるを得ないのが、

  • スティーヴ・ヴァイ
  • イングヴェイ・マルムスティーン
  • エリック・ジョンソン

あたりです。では、ついでに悪ノリして、世間では非常に評価が高いけど自分的には“屁”とも思わないギタリストは(読んでる人でファンの方がいたらゴメンナサイ!)

  • エリック・クラプトン(理由は後にどこかで書きます)
  • スティーヴ・ハウ

若い人をよく知らないので、ベテランばっかりですね。好きなミュージシャン(いわゆるギタリストと言われる人以外、もしくはバンド)はというと、

  • トッド・ラングレン
  • ピンク・フロイド
  • エアロスミス
  • U2

あれっ!? 何かかえって判りづらくなってきましたね。でもまあ、このオッサンは70~80年代の英米のロックが好きなんだなという気がしますね(自分のことだろっ!?)。

 と、まあ、こんな私が悩める脱・初級中級ギタリストを目指すみなさんに、何らかのアドバイスができたらと思っています。ひょっとしたら技術的なことより精神的、または全然関係ない無駄話が中心になるかもしれませんが、ぜひ、寛容な気持ちでおつきあい下さい!

(2012/1/8)

Lesson1 やっぱり練習はツラいかも

 さて、まず最初に前提条件として、この講座は“ギターを買ってきて(または借りてきて)初めてギターに接する人” が対象ではなくて、ある程度ギターの構造や演奏法は理解しているけど、なかなか上手くならない人を対象にしていきます。ですから、ギターの弦の張り方とかチューニング方法、一般的な簡単な調整法とかは省きます。それなりに弾けるのだけど、何やら壁にぶつかっていると感じている人の悩みを解消できたら! と思っています。

 では、私の考える初・中級者のイメージをお話します。率直に言って、かなりのテクニックを必要とする曲でも、何となく弾けたりするものの、技術的にごく簡単な曲であっても、“完璧には” 弾けていない人。そういう人はけっこう多いです。結局、技術的にどんなレベルの曲でも完成度が“イマイチ” のところで止まっているのですね。自分でも余裕で弾けると思っていた曲を上級者が弾いているのを聴いて“唖然”とした経験はありませんか? 指板を見なくても弾ける、自分では充分マスターしたと思っていた曲でも、まだまだ全然弾き切れていなかったことに気づいたそこのあなた!! きっと大丈夫です。その上級者との差を頑張って埋めていこう! というのがこの講座の主旨です。というわけで、用意はいいですか?

  ギターアンプに繋がない!!

 まず、私はギターアンプに繋がないで練習することを推奨します。ここでいうギターアンプとは“PODなどのアンプシミュレーターに繋いでヘッドフォンで”ということも含みます。まあ、要するにギターのジャックには何も刺すなということです。もっとも、すぐにメモを取れるようにボールペンなどを刺すのまでは禁止しませんが(笑)。
 “なぬ~、俺はギターを弾く時はいつ何時でもマーシャル3段積みでフルテンじゃ~!!” という人もいるかもしれませんが、そんな人は既にメチャクチャ上手いか(プロ)、下手だとしても、とても悩んでるとは思えないので、これを読んではいないでしょう。

 さて、その理由ですが二つあります。
 ひとつ目は、アンプやエフェクターに繋いでしまうと、どうしても“聞こえの良い音”にしてしまうのが人としては当然です。つまり、自分が気持ちよくなりたいがために、コンプをかけたりゲインを上げたり、コーラスをかけたりディレイをかけたり、卵をかけたりはしないまでも、そうしがちです。単純に言って“より上手く”(より美味くではない!)聞こえる方向に持っていってしまいます。そうすると、“あっ!? 何だ、俺、結構上手いじゃん!”ということになって、真面目に練習をしなくなる恐れがあります。
二つ目は、っていうか、こっちがホントはメインの理由なのですが、エレキ・ギター(エレキ・ベース)って“ながら族”で練習できる、ほとんど唯一の楽器なんですね。つまり、本を読みながらとかテレビを見ながらでも弾けるんですよエレキ・ギターは。アコギだと本は読めるかもしれませんが、音が響くのでテレビとかはちょっと無理。それ以外の楽器だともうまったく不可能です。何をやるにしてもその音の大きさが、それ以外の行為を阻害してしまうので……。
 “いやいや、俺はサイレント・ムービーを見ながらトランペットの練習をしている!” という人が、世界に3人ぐらいいるかもしれませんが、まあ、友達にはなりたくないですよね。(いや、むしろ会ってみたいか?)

 もちろん、ながら族でやるよりは、完全に集中してやる方が上達が早いことはNASAとかの研究で判っています(NASAはウソ)。ただ、ある程度の技術を習得するには、それなりの単純な反復動作を含む“つまらない”練習は絶対必要なのです。その部分のストレスを軽減するための“ながら族”であって、そのためにはアンプに繋いだり、ヘッドフォンをしたりしてはできない相談なのです。って なわけで、今後は見たいテレビがあったから、ギターの練習をサボってしまったという言い訳はできなくなりました。

 今回は、練習する時のスタンスだけで終わってしまいました。次回は実際にどんな練習をするか、譜例を交えて解説していきたいと思います。

(2012/1/8)

Lesson2 正確に弾けてないかも?

 さて、前回はギターを練習するにあたって、音は出さないでいってみようということを提案しました。これなら、テレビを見たり本を読んだりしていても、基礎練習ができるし、そのストレスを軽減できるからです。
 もちろん、“俺は別に基礎練習はツラくないし、ついでにマゾだから、練習中の気晴らしなんて必要ない!”という人は、わざわざテレビを見たり、本を読んだりすることを推奨しません。(ついでに言えば、こういう人は、とっくに上級者になっていて、私なんかより全然上手い可能性が大です!) いずれにしても、ギターの練習をするために本を買ってきたり、テレビ番組をわざわざ録画したりするのでは、本末転倒です。何もしないで、ギターだけに集中できるのであれば、それが一番良いですから。

 お前、そろそろ実際に弾く譜例とか出せよ!という声が聞こえそうなので、一つ出しましょう。

■譜例1
譜例1

 これは、大抵の教則本に載っている、よくある左手の運指練習です。目的は左手の4本の指を独立させて動かせるようにするためですかねぇ~。う~ん、やっても損はないかもしれませんが、個人的には非常につまらない練習だと思います。大体、メロディーを感じないですしね。加えて、実際に曲を弾く時に、こんな運指パターンなんてほとんど出てきません。私は初めてエレキ・ギターを手にし、この練習用譜面を見た時にそういう思いにかられたのです。だから、こんな練習はヤメておきましょう。

 じゃあ、ロックの曲で使うパターンを学ぶには、どうしたらいいか?

 そんなの、結局曲をコピーすればいいんじゃん!と思った人は全然ハズレ! そもそもダラダラと何も考えずに好きな曲だけをコピーをしてきたから、壁にぶち当たっているのです。ある曲をそっくりコピーするにしても、結局、基本的にはそのフレーズより難しいことをやるわけではありません。ですから、ある日、仮に完全コピーができるようになったとしても、あなたの技術習得レベルが、そのフレーズの難易度を超えることはあり得ません。よって、あなたは常にそのフレーズに対して“100%”の力で挑まねばなりません。そんなことをしていたら身体が保たないでしょ!?

 なるほど、そう言っておいて結局、基礎練習を押しつけるんだな!?と思った人は……、まあ、半分は正解です(笑)。だから、テレビを見ながらでもイイって言ってるじゃん!!と逆ギレするのも大人げないので、ここで私が推奨する最初の譜例をお見せします。

■譜例2
譜例2

 つまりは何のことない6弦~1弦を使ったGメジャー・スケールです。かなりがっかりした人がほぼ全員かと思いますが、これだけを馬鹿の一つ覚えのようにやれとは言いません。これを弾く時の約束事があるのです。

 まず、メトロノームを使います。これは後々の自分の達成感に大きく関わってきますので必ず守って下さい。では、人によって個人差はあると思うのですが、オルタネイト・ピッキングで完璧に“もう全然余裕!!”というテンポから弾いてみて下さい。
 テンポ=70~100ぐらいの範囲内が妥当でしょうか!?(私は日によって違いますが大体、テンポ=94とかが多いです) まあ、余程のへそ曲がりでない限り、最初の音をダウン・ピッキングから弾いたと思うのですが、今度は同じテンポでアップ・ピッキングから弾いてみて下さい。
 もし、ダウンからだとできたけど、アップからでは上手くできないという人は、そのテンポは、“もう全然余裕!!”のテンポではないことになりますので、そのままアップからできるようになるまで弾き続けるか(笑)、潔く負けを認めてテンポを落としましょう。

 そして、教則本などには必ず書いてあることですが、すべての音符を“均等な強さ”で弾くようにしましょう。ところで、みなさんは何故“均等な強さ”で弾かねばならないか考えたことがあるでしょうか!? っていうか、教則本に“均等な強さ”で弾かねばならない明確な理由が、書いてあったでしょうか!?(書いてないんじゃない?) この理由は次回で説明します。
 さて、最初のテンポが見つかったら、今度はテンポを少しずつ速くしていきます。早くする幅なんですが、3~6程度が良いでしょう。加えて、最初は7~10フレットを使ってフレーズを上下していましたが、別のフレットに移動してみましょう。ポジションをそっくり平行移動するだけです。2~5フレットとか、12~15フレット(当然、一番低いポジションが人差し指、高いポジションが小指)でもやってみましょう。いきなりフレットを大きく飛ばさないで、1フレットずつずらしていってもかまいません。ハイ・ポジションで弾く時は(人差し指が12フレットより上にいくような時)小指以外の3本指で弾いてしまうのもアリです。

 フレットを移動してみると気づくと思うのですが、1~4フレットで上下するのと15~18フレットで上下するのでは、それぞれ左手と右手の感覚がかなり違ってきます。低いポジションだと、左手がキツくて右手は楽です。高いポジションだと逆になります。微妙に弾いている感覚が変わってくるのですが、それでも出る音は均等に同じニュアンスで弾くようにして下さい。

 テンポを徐々に上げていくと、当然いつか弾けなくなるテンポに到達します。この段階でもし、“俺、テンポ=180でもまだまだ余裕なんだけど……。”という人がいれば、そんな人はとっととプロのオーディションでも受けに行くと良いです(笑)。あなたの居場所はここではありません! さて、仮にあなたがテンポ=132はできるけど、テンポ=138はちょっと微妙だというのであれば、毎日(というかこの練習をやる時は必ず)テンポ=138まではやるようにしましょう。きっといつかテンポ=138ができるようになる日が来ます。(それが翌日なのか1ヶ月後なのかは判りませんが) そうなったら次はまたテンポを一段階速くしていきましょう。そうして徐々に自分の限界を上げていくのです。ね!? メトロノームを使うと明確にスピードが上がっていくのが判るでしょう!? ちょっとした達成感があるのです。
 じゃあ、お前はどのぐらいできるんだと聞きたいかもしれませんので、お答えしておきますが、大体テンポ=165ぐらいが限界です。私は速弾きが特に得意というわけではありませんので、もっと速くできる人もきっといることでしょう。

 今回のは、まあいわば練習のベースとなる部分です。次回からちょっとずつ応用を入れていきますので、少しは楽しくなるかもしれません。なるべくマメに更新しますので、みなさん頑張って下さい!!

(2012/1/15)

Lesson3 3連符かも?

 みなさん、元気にがんばっていますか? 前回、“均等な強さ”で弾くのは何故なのか?煙に巻いたまま終わってしまったので、その理由を説明します。

 楽器で曲を演奏する時は、強・弱をつけるアクセントというものが存在します(もちろん、あえて無機質なビートで強弱をつけないモノは除く)。ところで、強くとか弱くというのを表現するには、当然、基準となるべき“中間の強さ”がなくてはなりません。“均等な強さ”を心がけていくと、各人にとってもっとも無理なくコンスタントに弾き続けることができる“強さ”が見つかります。身体がそのうち覚えてしまうわけです。

 ピッキングがキレイだということは、結局、その中間の強さが安定していることなのです。中間の強さが安定していれば、それに対しての“強・弱”もよりコントロールしやすくなるわけです。ですから、“均等な強さ”で弾くということは、将来、表現力としての強・弱を使いこなせるようになるための前段階なのです。

 というわけで、今回は3連符です。苦手だという人も多いですかね。でも、モノは考えようで、前回は16分音符だったので1拍につき4回ピッキングしなければならなかったのですが、今回は3回だけです。ひょっとして、回数が少ないから楽かも?

 とはいえ、拍の頭がダウン・ピッキングとアップ・ピッキングで交互に入れ替わってくるのが難点です。それが一番の問題であります。(敬礼!!)

 しかしながら、前回の講座でアップ・ピッキングから始めるスケールをきちんとやっていた人にとっては、拍の頭にアップ・ピッキングがきても、それほど違和感を感じないのではないでしょうか!? まあ、ダマされたつもりで……。

■譜例3
譜例3

 ポジションは前回の譜例2で示した7~10をまた使ってみましょう。え~と、何でいつもこのポジションなのかというと、左手と右手両方にとってもっともストレスなく弾きやすいポジションだと私が思っているからです(私だけ?)。ところで、3連の場合も、ダウン・ピッキングから弾き始めるパターンと、アップ・ピッキングから弾き始めるパターンの両方をやります。しかし、16分音符の時に比べるとそれほど難しさは変わらないのではないでしょうか?

 では、前回と同じくポジションを移動しながらやってみましょう。この移動については両手の感覚が違ってくるからだと説明しましたが、実はもう一つ大切な理由があります。だって、いつも7~10フレットばかりで弾いていたら、その周辺のフレットだけ減っちゃうでしょう? そんなことをしていたら、わずか1~2年でフレットを打ち替えるハメに陥ります! 長期的なランニング・コストを考えて、フレットを平均的に減らそうではありませんか!(笑)

 テンポは3連ですから100~120あたりから始めると良いでしょう。また例によって少しずつテンポを上げていって(4~8ぐらいが適当)最終的には200前後ぐらいを目標にしましょう。ちなみに私は自分が使っているメトロノームがテンポ=208までしかないので、そこまではやってます。最近のはテンポ=240まで発振できるみたいですね? もっとも、パソコン上でDAWに発振させればテンポ=999まで出せると思うのですが、テレビが見られなくなるので却下! っていうか、240ができるのならもう練習は必要ないかも?

 ついでに、前回の譜例2の場合もそうなのですが、6弦から始めるのではなく同じ音列で1弦から下がっていくパターン、つまり4小節4拍目1弦10フレットDの音を頭にして下がっていって、最後の音6弦7フレットBまでいったら、逆にそこから上がっていくという、真ん中で区切って前後を逆にするパターンも試してみましょう。

 ところで、皆さんはこのスケールを弾いてみて、高音に上がっていく時と、低音に下がっていく時とでやりやすさに差があるでしょうか? まったく差を感じないという人は、ピッキングがかなり安定している証拠です。ちなみに私は若い頃、低音に下がっていく時の方がずっとやりやすかったのです。で、これはイカン!と上がっていくパターンを意識して多めに練習したのですが、今では上がっていく方が得意になりました(笑)。それじゃ、全然ダメだろっ!? って感じではありますが、どちらが苦手なのかを知ることは弱点の克服には重要です。

 というわけで、今回はここまで! みなさん頑張って下さい!!

(2012/1/22)

Lesson4 16分音符とはねぇ~

 さてみなさん、いかがお過ごしでしょうか? って、ギターを弾いてるに決まってますか? 寒いときには充分手を温めてからやりましょう。ヘタをすると腱とか痛めてしまいますからね。

 というわけで、今回が基本部分の最終段階です。ここまでの練習は私が高校一年生の時に、どうしてもマイケル・シェンカーが弾けなくて、どうしたらイイかそれなりに自分で考えた練習法なのでした。実際のところ、約半年後にはかなり正確に弾けるようになりました。エヘン!!

 ではいってみましょう!! 16分音符が並んでるとスゲー速弾きのように感じますが、テンポ次第ですね。(当たり前か)

■譜例4
譜例4

 前回は3連符で、連続した3つの音階を1グループとして、スケールを上下しましたが、今回は連続した4つの音階を1グループとするわけです。まあ、このまんまのフレーズをギターソロで耳にすることもあるでしょう。やっておくと後々大変役に立つ練習です。前回もそうでしたが、こういったスケールを上下する場合、3弦が絡んでくるところが一番難しいですが、ギターの性質上避けて通れません。ホントは、ピッキングをもう少しやさしくするために、3弦を絡めるときに左手をポジション移動してしまう方法もあります。でも、ここはあえて3弦は二つのポジションだけを使います。同じフレーズを弾く方法が何通りかあるのがギターの良いところでもあるのですが、ここはガマンして下さい。こうすることによって、将来的により柔軟なピッキングに対応できるようになります。

 基本はいつも同じで、最初はゆっくり、アップ・ピッキングとダウン・ピッキング両方から始めるパターンをやります。拍の頭がアップから入るというのは、普通のフレーズではあまり出てこないと思うかもしれませんが、実は意外とアップから入った方が弾きやすいフレーズってあるのですよ! これまでの練習で拍の頭をアップからというのに、慣れてきたと思いますので、これまでできなかったフレーズも、アップからやってみたらできてしまうかもしれませんヨ。

 理想を言えば、最初にやった譜例2と同じテンポまでできればイイですね。っていうか、譜例2と譜例4は一緒にやるとイイかもしれません。つまり、例えばテンポ=100で譜例2をやるときに、一緒に譜例4もやってしまうのです。いやいや、一緒にっていうのは2本のギターで同時に弾くということではないです(笑)。って判ってるか……。そうすれば、メトロノームのテンポをいじる回数が少なくて済みますしね。

 というわけで、ここまでやってくるとオルタネイト・ピッキングがかなり安定してくると思います。第一段階は終了で、次回からはいよいよ路上教習!じゃなくて、応用編になります。みなさん、頑張って下さい!!

(2012/1/29)

Lesson5 弦飛びかも!

 弦飛びです。遂に来てしまいました! 何が難しいって、やっぱり弦飛びでしょう!? 苦労している人は多いと思います。ところで、一口に弦飛びと言っても、オルタネイト・ピッキングでやる場合もあれば、例えば、ダウン、ダウン、アップとか、アップ、アップ、ダウンで弾いた方が良い場合があります。が、当講座ではオルタネイト・ピッキング中心にやります。っていうか、オルタネイトじゃないとできないパターンばっかりかも?

 弦飛びをしっかり練習することのメリットは、何と言ってもピッキングが安定することにあるのですが、ピッキングが安定すると間違いなくサウンドも良くなります。この練習をやった後に、アンプに繋いで音を出してみるとその効果が判るはずです!!

■譜例5a
譜例5a

 ポジションはどこでもかまいません。最初は難しく感じられるでしょうから、自分が最も弾きやすいポジションに随時平行移動して下さい。左手はこの運指パターンが一番やさしいと思うのですが、チャレンジ精神がある人は弦を飛ぶ指を人差し指ではなく、中指にして、それに応じて飛んだ先の弦のフレット・ポジションを一つ上(譜例より半音上がる)にしてみると良いかもしれません。譜例3ができるテンポまでできれば言うことありません。っていうか、同じく3連符なので、どうせなら譜例3と一緒にやりましょう。またもや、メトロノームのテンポを変える手間が省けます。6回の音につき1回だけ弦飛びが入るのですが、基本的にはダウンから入って、オルタネイトですから弦飛びの音はアップになります。え~と、これはこれまでのようにアップからもやれとは特に言いません。もちろん、向上心が高い人はやってみるのもイイですが、やらなくても特に問題はありません。っていうか、私も気が向いた時にやる程度です。コツとしては、アップ・ピッキングの時にムダに力を入れないこと、弦飛びを意識せずに、6個の音をすべて同じ弦で弾いているぐらいの気持ちでやりましょう。

 お次は16分音符ヴァージョンです。

■譜例5b
譜例5b

 こちらは小指も使って4つのフレットでやります。ダウンから入るオルタネイトですので、やはり弦飛びの音はアップになります。ただしこちらは、4回につき1回の弦飛びが入るので、やや忙しい印象かもしれません。こちらの方も弦飛びの音を中指以外に変えてフレット・ポジションも相応に変えてみると、左手のトレーニングにもなります。指を変えてやってみることに関しては、3連符の時よりやりやすいと思います。コツは3連の時と同様で、弦飛びの時に力を入れすぎないことと、やはり4つの音を同じ弦で弾いている感覚でピッキングしましょう。こちらもアップからやれとは言いませんし、最初は自分が最も弾きやすいポジションに移動してかまいません。まあ、どうせ16分音符なのだからということで、譜例2、4と一緒にやりましょう!と言うだろうと、勘のいい人は気づいたでしょうが、その通りでございます。

 難しかったでしょうか? 次回も弦飛びなので、それまでに弾けるように頑張って下さい!!

(2012/2/5)

Lesson6 弦飛びかも!パート2

 弦飛びパート2です。前回はどうでしたか? 実はLesson5の練習パターンはスティーヴ・モーズのフレーズを聴いている時に思いついたモノで、私自身もギター・ソロの中で、ほとんどそのまま使ったりしています。ディストーション・サウンドでハーフミュートをかけてやると、上手くいけば相当ドライブ感が出ます。マスターしたアカツキには試してみましょう。

 さて今回は、オルタネイト・ピッキングをより正確にするための練習法です。ちょっと気合いが要るかもしれませんね。テレビなんて観てる場合じゃないかも!?(笑) いつもと同じで、メトロノームに合わせて始めはゆっくり、徐々に速くしていきましょう。

■譜例6a
譜例6a

 4弦を基点として他の弦に移動していくのですが、基点とする弦を変えてみるのも面白いです。例えば6弦とかね! もっとも、6弦と1弦で弦飛びをするってのは、あまりフレーズ的には現実的ではないですね。だからこそ4弦を基点にしてます。余計なこと言いました(笑)。コツはやっぱり右手に力を入れすぎないことと、ピックを当てる角度をどの弦でも同じようにすることです。フレット・ポジションはどこでも良いですが、右手の感覚がけっこう違ってきますので、なるべく多くのポジションでやってみて下さい。

■譜例6b
譜例6b

 まさにオルタネイト・ピッキングのためのフレーズって感じですね。難しいかも!? ただ、これをやっておくとですね、何でも弾けるような気になってきます(多分、勘違いですが)。右手が非常にフレキシブルにどの弦にでも移れるようになってくるというか、右手に“どこでもドア”が装備されている感じと言ったら、判ってもらえるでしょうか?ってかえって判り辛くなってるだろっ!?(笑)ゴメンナサイ! この4小節だけで止まらないで、すかさずフレットを一つずつ横に移動していって、4小節を一つのフレーズとしながら連続でやると、大変ですが非常に効果的です。また、通常このフレーズの左手は小指以外の3本でやりますが、そこを人差し指以外の3本でやったりすると、もうほとんどマゾな感じで、クセになりそうです(笑)。

■譜例6c
譜例6c

■譜例6d
譜例6d

 すぐに気づいたかもしれませんが、このフレーズは前回の譜例5aと譜例5bと同じ音列です。が、聴いた(弾いた)印象が随分違うでしょう? まあ、一種のトリックみたいなモノで、同じ音列ですが、譜割を変えることによって、拍の頭が変わってきています。これはやってみると判るんですが、リズム感が良くなると言うか、リズムに対しての捉え方が大きくなると言うか、人間が大きくなると言うか……、イヤイヤ、人間的成長は無理かもしれませんが、“音楽”に対する考え方が変わってきます(ホントか?)。音楽って瞬間を捉えるんだなぁ~!ということが身体で判ってきます!

 というわけで、今回は終了です。次回は自分の“立ち位置”を考える(?)練習の予定です。みなさん頑張って下さい!!

(2012/2/12)

Lesson7 リズムトリックかも?

 こんにちは。前回の最後に今回は自分の“立ち位置”を考える練習をやると予告しましたが、よくよく考えた末、譜例6cと譜例6dに関してちょっとすっ飛ばし気味だったかな?と反省しまして、もうちょっとリズムトリック系の練習をしましょう(笑)。

■譜例6c(再掲)
譜例6c

■譜例6d(再掲)
譜例6d

 もう一度載せてみました。ギターを弾くための物理的な動作は、譜例6cは譜例5a、譜例6dは譜例5bと基本的に同じだということは判ってもらえると思います。ですから譜例5a及び5bが弾けたのであれば、譜例6c及び6dが弾けないはずがありません。しかしながら、このフレーズはメトロノームに合わせてやると感じるのですが、拍の頭がフレーズとはズレていってしまうので、聴感上は別のフレーズのように感じてしまいます。たとえば譜例6dの場合、音だけ聞くとみなさんは4つの音ごとに1フレーズと意識するでしょう。ところが、この譜割りは3連符ですので、フレーズの最後の音が次の拍にかかってしまいます。それゆえ、2つめ以降のフレーズもどんどん後ろにずれていってしまいます。ですから、「手の動きは同じだから」と言われても、これまで練習してきたパターンを耳と身体(手)が覚えてしまっているので、違和感を感じてしまうのです。

 そこで考えて欲しいのですが、ギターを弾いているのは誰でしょう?ということです。別にメトロノームに弾かされているわけではなく、自分の意志で弾いているのです。ですから、フレーズをコントロールしているのは自分であるはずです。アクセントの位置、つまり拍の頭を自分できちんと感じることさえできれば、ある意味、まったく動作は同じだけど別のフレーズをマスターできることになります。何てお得な話でしょう。これでフレーズのストックが倍になっちゃいました! 前回の最後に、リズムに対して捉え方が大きくなると言ったのはこういうことで、リズムに追い立てられるのではなく、逆にリズムを利用できるようになる!!ということなのです。

■譜例7
譜例7

 さて、弦飛びでリズムトリックをやった後に、今度は通常のスケールでも同じことをやってみましょう。譜例7のスケールは譜例3でやった3連符のパターンとまったく同じです。 むしろこっちを先にやれよ!って感じもしますが、弦飛びパターンの方が、リズムをより感じることができると思ったので、この順番にしました。

 私がまだ初心者だった頃、この頭がズレていく感じがとても気持ちよくて、とてもハマリました。みなさんはどうです? 譜割りが細かくて、その繰り返しというフレーズであれば、いろいろなパターンが使えます。バッキングのアルペジオとかでも3連符のパターンを8分音符や16分音符に置き換えて使うと、何故かドライブ感が出たりします。目の前が開けた感じがしませんか? っていうか盛り上がっているのは私だけ?(笑)

 ってなわけで次回に続きます。みなさん、頑張って下さい。今週はオリジナル作品が更新されていまして、しかもインストですので、“コイツ、偉そうなこと言ってるけど、どんなギターを弾いているのだ!?”という気持ちで聴いてみて下さい。では、また。

(2012/2/19)

Lesson8 弦考だよ?

 みなさんお元気でしょうか? 前回と前々回は難しかったと思います。ですから、正直言ってこの2週間で、できるようにするというのは酷だったかもしれません。まあ、もっとも単に私が毎週1回のペースで更新しているってだけですので、みなさんは焦らず自分のペースでやって下さい。言われなくても、そうしてるとは思いますが。

 ってなわけで、やたらと新しい譜例を出しても、そんなに時間があるわけではないでしょうから、ちょっとペースを緩めまして、雑談でもしましょう。

 みなさんは当ウェブサイトの“言いたいかも”のコーナーも御覧になっているでしょうか? こちらは、私のやっているブログに直接リンクされているのですが、音楽以外のテーマについても書いております。っていうか、基本的にはその日に思いついたことを書き殴っておりますのでフリーテーマであります(敬礼!!)。でまあ、まだ始めたばかりですので、このブログがどういう役割をしているのか、また今後どうなっていくのか、私自身も皆目判らないのですが、一応、本人お奨めの記事がありましてね!

「宇宙人」と「漢字のタトゥー」ってのは良いできだと思うんですが、まだまだアクセス数が少ないため、その真偽はわかっておりません(笑)。音楽関係といたしましては、「レスポールとストラトキャスター」ってのも、自分なりに気に入っております。「作曲」ってのも、友人の一人が “これはいい話かも!?”と言ってくれました。

 でも実を言うと音楽をテーマにしたものはそんなに多くないんですよね(笑)。意外とフィギュアスケートのネタは反応が良かったりしますが、フィギュアスケートのファンは熱心ですからね。それはそれで嬉しいです。いつか自分の曲がフィギュアスケートのプログラムで使われるようになったら良いな!とかも思っています。というわけで、“言いたいかも”のコーナーもお忘れなく! 毎日更新というのはウソではありません。

 さて、一応ギター講座ですので、それらしい話をしましょう(笑)。みなさんは弦のゲージって何を使っていますか? 私はレスポールには010~046、ストラトには009~042のセットを張っています。メーカーは大抵アーニーボールで、たまにダダリオです。もともとは009~042のセットを使っていたのですが、私はピッキングが非常に強いので、やたらと1弦を切ることが多く010~046に変えたのです。これが18歳ぐらいの時です。ストラトを手に入れたのは23歳の時だったのですが、最初はレスポールと同じ弦を張っていました。でもまあ、ストラトはブリッジの構造上、弦が切れにくいということと、シングルコイルのシャープな音を強調したくて、しばらくしてから009~042のセットに変えました。

 ところで、ちょっと前に、他人はどんな弦を使っているのか気になってですね、ネットの掲示板とかで調べてみました。で、ネットの掲示板ですからホントのことを書いているかどうかは判らないのですが、ざ~っと見た感じでは、010~046のセットが普通で011~052のセットの人もザラにいるという結果になったんですが、何か非常に嘘くさいなと思いました。というのも、私がライヴ活動を頻繁にしていた頃って、010~046のセットを使っている人だってそんなにいませんで、ほとんどの人が009~042のセットを使っていたと思います。それどころか008~038というセットの人も相当数いました。

 何かみんな、太いゲージを使う方が上手くなるとか、上手いと思われると思い込んでいるんじゃないでしょうか? 上手いかどうかってのは、良い音が出ているかどうかっていうのとほぼ同義ですが、どんな弦を使っているか?というのとはあまり関係ないんですけどね。つまり、別に008~038のセットを張っていても良い音を出す人は出すんですよ。何かつまらない見栄を張っているような気がしましたのでね。自分が一番弾きやすいと思うモノを張れば良いんですよ。他人なんて気にせずに!! 大体楽器屋の弦売り場を見ると、相変わらず009~042のセットの在庫が一番多いように思えますし、私の行きつけの練習スタジオは、弦が切れて替え弦を持っていない人のための緊急用に弦が売っていますが、010~046の弦は売ってません!! 私だって、学生時代で金がなくて破産しそうだったからやむを得ず太い弦を張るようになっただけで、家が金持ちだったらずっと009~042のセットのセットを使っていたでしょうね(笑)。まあ、今は慣れちゃったし、1弦も切らないし(6弦は切るのだけど)、いつの間にかタッチが010~046に合うようになってしまった気がするのでそれはそれなんですが。

 現在ってムダに情報が溢れているので、その情報にヘタに踊らされてしまうことがあるのですね。ついでに思い出したので書いておきますが、両手を鍛えるために、サブギターにはメインギターより2ランク太い弦を張って、そちらで主に練習しているって書き込みがあったのですが、え~と、物理的に指の力を鍛える方法としてはアリのような気もするのですが……。う~ん、ギターの上手いヘタの差が一番でるのが、タッチがどうかってところなので、これでは練習用とメインギターではどうしてもタッチに違いが出てしまうと思うので、上達法としてはあまり効果的ではないかもしれませんね。

 というわけで今回は譜例なし! 何で今、自分がこの弦を張っているのか考えてみるのもイイかもしれません。頑張って下さい!

(2012/2/26)

Lesson9 ウラオモテ無き人生?

 今回はピックの話をします。考えようによっては、“自分が弾きやすいと思う好きなの使えばイイじゃん!”で終わっちゃうんですが、それじゃ講座の意味がないし、ひょっとしたら気づかないでいることもあるかもしれません。この機会にちょっと腰を落ち着けて考えてみようじゃありませんか!

 この世にピックってどれくらいの種類があるのでしょう? 大きさ、形、材質、厚さ(硬さ)等々考えると何百種類とあるでしょう。それらを順番に一つ一つ試していったら、きっといつかは“これだっ!!”っていうのに巡り会えるでしょうが、それが明日になるのか、還暦のお祝いの日になるのかは、神のみぞ知るという感じで、とてもやってられません。コストの問題もありますしね。ですので、とりあえず一般的な傾向をお話したいと思います。少しでも最愛のピックに巡り会える助けになれば幸いです。

 では、大きさからいってみましょうか。単純に想像が付くかと思いますが、サイズが大きなピックは持ちやすいので、右手の大きな動き、すなわちコード・ストロークとかには向いています。あんまり小さいのだと、上手くホールドできなくてジャラーンとコードをかき鳴らした時に、すっ飛んでいってしまうことがありますね? また、大きい方が“しなり”やすいので、コードを弾く時にピックが弦に引っかかりにくく弾きやすいというのもあります。反対に、サイズが小さいモノのほうが小回りが利くという感じで、ソロには向いていると言う人は多いです。

 次に形です。まあこれは先端の部分がポイントなのですが、尖っているものは弦との接地面積が少なくなりますので、音がシャープになる傾向にあり、また接地部分が少ないことから、弦をピックが横切る時間を短縮できる(といってもほんの僅かですが)ので、速弾きに向いていると思われます。反対に先端部分が丸みを帯びているモノは、音が丸くなります。

 材質は弾いた時の感触とトーンにかかわってきます。で、これはどれが良いとか、向いているということは一概には言えないので、各人の好みで決めるしかないでしょう。まあ、あえて言えるのは、セルのピックは非常に減りやすいです。対してメタル、カーボンは減りにくいです。ナイロンはその中間といったところでしょう。

 厚さなんですが、一般的によく言われるのは、最初は薄い(軟らかい)モノが弾きやすく感じられて、テクニックが上達するにつれて徐々に厚い(硬い)モノが弾きやすくなってくるということです。これはピッキングが上達してくることと関係があるのですが、ピッキングがへなちょこの時は、薄いピックの“しなり”が適度なごまかしに作用して、何となく弾けている感じになれます。ところが、ピッキングがしっかりしてくると、その“しなり”が逆にレスポンスが悪いと感じるようになります。つまり、たとえば速弾きをやろうとしても右手の動きにピックがついてこられなくなってしまうのです。もっとも、何をもってして“速弾き”と言うかとか、演奏するジャンルによっては単音の速弾きの必要性がないモノもありますから、上手くなったら厚いピックを使うべきだとは言い切れませんし、プロの方でも薄いピックを使っている人はいます。

 以上のことを踏まえた上で、私自身の経験を絡めて話を進めましょう。 私がここ25年くらい使っているピックの写真を載せておきます。このピックにしてからは、その後一度も変えることなく今日に至っています。使い始めた頃はどこの楽器屋さんでも普通に手に入ったのですが、ここ数年は見かけなくなってしまいました。ですが一応まだ生産は続いているようで、いつもロット単位(50枚)で取り寄せてもらっています。大体1年で1ロット使い切る感じです。材質はカーボン、厚さ1mmで形と大きさは一般的なものと言えましょう。通常は20~30枚程度を同時に使っています。これは基礎練習時にメトロノームのテンポを変える時に、同時にピックも持ち換えていきます。一枚のピックを使えなくなるまで使うのではなくて、複数を同時にローテーションしながら使っているのです。で、使い切ったのは捨てて、新品を補充していくという感じです。

■愛用ピック
愛用ピック

 さて、私は最初、ホームベース型のピックを使っていました。年配の方ならピンとくるでしょうが、あのリッチー・ブラックモアが使っていたモノと同じ形です。今もまだあると思います。これって小さくて先端が尖っているので、速弾き等のソロ・ワークには非常に向いています。それで私はピッキングが非常に強いので、ナイロン製を使っていました。当時はまだ、カーボンやメタル製のモノってなくて、セルかナイロンだけだったのです。私はセルを使うと、まったく誇張ではなく1曲弾いただけでピックがすり減って使い物にならなくなってしまうのです(笑)。サウンドはセルの方が好みだったのですが、貧乏学生が1曲弾く度にピックを換えるわけにもいかないですからね。厚さは最初の1年ぐらいはミディアム程度のモノを使っていましたが、やはり世間並みに(?)徐々に厚いモノに変わっていきました。しなりがあるとどうしても速弾きがやりづらいので、“しならない”ことも自分にとっては重要になったからです。

 そのピックは3~4年ぐらいは使ったでしょうかね!? でもやっぱり、バッキングがやりづらいなと感じ始めまして、いろいろと違うピックを試し始めました。音楽的に成熟してきたとでも言いましょうか(笑)、バッキングをカッコよく決めるのも大切だと気づいたのです。

 ちょうどその頃にカーボンやメタル製のピックが出始めまして、現在使っているモノに出会ったのです。これまでは持ちづらいのをガマンしてまで、ソロ重視のために小さいモノを使っていましたが、このピックは、“持ちやすく、減りにくく、しならない”という条件にぴったり合致したのでした。ところで、このピックに行き着く過程で、当然メタル・ピックも試してみました。みなさんは使ったことがあるでしょうか? 実は、メタル・ピックも私の必要とする“持ちやすく、減りにくく、しならない”という条件を満たしています。っていうか、減りにくく、しならないという条件においては、むしろメタル・ピックの方が上かとも思われます。

 ところがですねぇ~、意外に思われる方もいるかもしれませんが、メタル・ピックって音が甘くなるんです。弦とピック、どちらも金属同士なので更に音が“金属的”になるのかと思うとさにあらず。ピックが弦に当たった瞬間の“パチ~ン”という感じがなくなってしまうのです。まあ、もっともこれは私のタッチのせいかもしれませんが、試しにやってみると面白いかも!? というわけで、ロックをやっている私としては、音が甘くなってしまってはちょっと……、って感じでした。

 長々とピックの話をしてきましたが、自分がどういうプレイヤーになりたいのかと考えると、ピックも迂闊に軽視できないということが判ります。今使っているピックが、自分に本当に合っているのか考えてみることも良いかと思います。さて、いかにもこれで終わりという流れになってきましたが、実はこれから書くことが今回一番伝えたいことだったりします(笑)。

 みなさんはピックの表と裏って決めて使っていますか? きっと、たとえば文字が入っている方を必ず親指側(表)というように決めているのではないでしょうか? 私もず~っとそうでした。“何か弾きづらいなぁ~”と思ったらいつもと表裏が逆になっていたなんてこともよくありました。まあ、どうしたってダウン・ピッキングとアップ・ピッキングでは減り方に差が出てくるでしょうから、逆に持ってしまうと弾き心地に違和感が出るのでしょう。で、ある日ふと思ったんです。表だ裏だと考えるのって面倒だなって。これが1年半ぐらい前でした。で、思いついたその日からピックの表裏を意識せずに使うようにしたのです。その日から私は人間的にはともかくも(笑)、ことピックに関してはウラオモテの無い人生を送るようにしたのです。

 最初のウチは、“あっ、今までと逆に持ってる!”という違和感が多少なりともあったのですが、そのうち慣れてきて、今ではどちらが表だろうが裏だろうがまったく関係なくなりました。ある意味、ピックを手に取る時のストレス要因が減ったとも言えます。で、実を言うと、まあ、自分にしか判らない範囲だとは思うのですが、ピッキングのタッチがキレイになったんですよ。何というか表現力が上がったと言いますか。きっとねぇ~、ピックの表裏を気にしなくなったことが、精神的に上手く作用したような気がするんです。もちろん、技術的にも何らかの良い影響があったのかもしれませんが。

 これを別にみなさんに奨めようというわけではないんですが、こういうところにも上達の鍵があったりするんですよ!と言いたいのですね。機械的にただ練習用譜面を弾くのではなく、その時々で考えながらやるというのも大切です。今回も譜例なしになってしまいましたが、こういうのもイイかなと勝手に思っているのであります(敬礼!!)。では、みなさん、また次回でお会いしましょう。頑張って下さい!

(2012/3/4)

Lesson10 イメトレかも?

 みなさん、こんにちは!2回続けて譜例なしで話し込んでしまいました(笑)。今回はLesson 7でやったリズムトリックの最後のヴァージョンです。

■譜例8
譜例8

 おおっ!? 久しぶりの譜例でギター講座らしくなってきましたが(笑)、この音列はLesson4の16分音符の時にやった、譜例4と同じです。4つの連続する音階を1グループとして、1拍ずつ音階を上下したパターンです。そこで今度はそれを3連符にのせて弾こうというわけです。譜例7の時と同様、やはり拍の頭とフレーズの頭がどんどんずれていきます。譜例7は前にずれていったのですが、譜例8は後ろにずれていきます。

 とはいえ、技術的に新しいことをやっているわけではないですので、問題はきちんとリズムをとれるか?ということがすべてです。Lesson 7の時に書きましたが、要するにリズムに追われるのではなく、こちらがリズムを利用しているのだ!という意識を持って弾いてみましょう。もう習慣になってくれていると嬉しいのですが、平行移動していろいろなポジション、更にテンポも徐々に上げていって限界の次のレベルまでやってみましょう。最初の頃に書きましたが、この限界の次のレベルまでやるというのは、上達には非常に重要です。

 さて、ここ2回続けて譜例なしにして、プレイする時の意識について話してきましたが、今回も書きたいと思います。世の中には練習パターンの譜例が山ほど溢れていますので、それらとはちょっと違ったアプローチから上手くなろうじゃありませんか!!

 当講座では“アンプに繋がないで”練習をするというのが前提になっていますが、今回はアンプによる音創りの話をしましょう。仮定の話ですが、あなたがある日、友達のバンドが練習しているところに遊びに行ったとしましょう。もちろん、自分のギターやエフェクターは持ってきていません。それで、その場の流れで“お前も一緒に何かやろうよ!”と言われて、他人のギターとエフェクターで演奏することになりました。この時に大抵の人は自分の使い慣れていないエフェクターやアンプに戸惑いを覚えて、自分の満足する音が出せなかったりします。

 確かに使い慣れていないアンプやエフェクターって、その操作法やベーシックなトーンを掴んでいないので、思ったような音が出せないのは仕方ないかもしれません。でも、プロや上級者って、いきなり他人の機材で演奏しても“いつもの音”を出せちゃいます。何故でしょうか!?

「そりゃプロはこれまでに場数を踏んでいるし、いろんなエフェクターの知識も豊富だろうから当然じゃん!」っていう意見も確かにあるでしょうが、実は決定的な差はそこじゃないんです。プロや上級者にだって“機材オンチ”の人もいますから(笑)。上手い人が何故良い音を出すか?という大きな理由の一つは、“はっきりした自分の音のイメージを持っている”ということにあるんです。

 目標が明確なら、それに至るアプローチってのが自然と見えてくるでしょ!? 自分の出したい音がはっきりしているから、機材が変わってもどうにかして出せちゃうんです。決してあらゆる機材の使い方をマスターしているわけではありません。

 ところで、初心者の人達にとっては、“はっきりとした自分の音のイメージを持つ”ということ自体が難しいことですかね? ひょっとしたら、自分にとって良い音をまだ模索している最中かもしれません。ですからとりあえず、アンプやエフェクターで音創りををする時のアドバイスをしておきたいと思います。

 よく見かけるのですが、音創りが上手くいかないで悩んでいる人って大抵、たとえば「トレブルがちょっと足りない」と思った時に、トレブルのツマミを“ちょっとだけ”上げるんです。っていうかあらゆる場面で“ちょっとずつ”ツマミをいじるんです。これって気持ちは判らなくはありませんが、それがそもそも間違いの元! それだと、ツマミをいじる前といじった後に明確な差がでません。それでどんどんワケが判らなくなっていくのです。

 何かが足りないと思ったら、一度そのツマミをガァ~ッと上げちゃいましょう。もうダイエット広告の「使用前、使用後」ぐらいにはっきりと差が判るところまでやってしまうのです。やり過ぎたと思ったらまた戻せばイイだけですから、別に命を取られるじゃなし(笑)。何がどう変わったのか?ということをきちんと一度認識できなければ、次のステップに進みようがありません。

 それと、実はこっちの方が大切かもしれませんが、トレブルのツマミを上げつつも、弾く時の気持ちも“もうちょっとトレブリーに”と思いを込めて弾くのです。これって凄く大事だと私は思っています。上手い人ってみんな、「もっともっと良い音が出るように!」って気持ちを込めて弾いているんですよ! ジェフ・ベックを聴いてみて下さい。彼って、「ギターってこの程度の音しか出ないのか?そんなはずはない!もっともっと良い音が出るはずじゃぁ~!出してやるぅ~!どんなもんだぁ~!思い知ったかぁ~!!」って感じで演奏してると思うんです。で、実際、ギターでは本来出るはずのない音まで出しちゃっているんですよ!(笑) 彼が、「いやぁ~、俺ってギター上手くね!?このストラトの音も最高にイカしてるし、完璧だぜ!」って思って弾いているとしたら、あんなに凄い演奏にはならないと思いますね。ひょっとして、本人はあれでも、“もっともっとイケルはず!”と思ってるかも(笑)。

 というわけで、上達には“自分のなりたいイメージ”というものが必要不可欠なんですよ!という話になってしまいましたね。アンプの音創りの話じゃなかったっけ?という指摘もありましょうが、すべてにおいて“イメージ”は大切ですよ!ってことです。

 またお会いしましょう! 頑張って下さい!

(2012/3/11)

Lesson11 ヴィブラートの真実?

 みなさん、こんにちは。このところ譜例が少なくて“もっとギター弾かせろよ!”って感じかもしれません。でもね、単純に練習用の譜面をそれなりの時間をかけてこなしていけば、技術的な力は身についていきますが、それ以上に、何のためにそれをやっているのか?ということも、重要だと思うんです。だから、その練習のための“サイド・ストーリー”的なモノを交えようかと思っているわけです。ただ単に、「はい、これやって!」で、やったとしてもそれなりに上手くなるでしょうが、明確な目的意識を持てた方が根気も続く気がしますしね。

 というわけで、今回はヴィブラートについてです。実を言うと今回がギター上達においては最もキーかもしれません。ただし、先に逃げを打っておくわけではないですが、上手く伝えられないかもしれません。頑張って書いてみます(笑)。

 私はヴィブラートが得意です。っていうか本人的には昔から得意という意識は薄いのですが、周りから「アンタのヴィブラートは素晴らしい!」とよく言われます。確かに、自分が上手いかどうかは置いておいても、他人の演奏を聴いた時に、「ヴィブラートがヘタ!」と感じることは多いです。だからきっと上手いのでしょう(笑)。

 どうして得意という意識があまりないかと言うとですねぇ~、私はヴィブラートを技術の一つとして練習した記憶がないのです。たとえば、ピッキングを一生懸命練習して技術を磨いていった経験があれば、胸を張ってピッキングが得意!と言えるような気がします。「これだけ練習したのだから、これだけは誰にも負けない!」という感じですか。でも、私はそれがヴィブラートに関してまったくないのですよ。というか自分自身はヴィブラートを技術の一つとしては考えていないと言う方が正しいかと思います。

 でも実際、ヴィブラートが苦手という人はけっこう多いようです。さて、そこで私は考えました。ヴィブラートを精神的な側面と技術的な側面の二つに分けてみましょう。で、精神的な側面が非常に大事なのかな?と思ったのです。

 最初に精神的な側面から。何度か出てきた話ですが、まずイメージの話からします。ある曲のある場面でヴィブラートをかけるということを想定して下さい。ところで、ヴィブラートってそのかけ方というか音の揺らし方が何通りもあります。音程の変化は細かく揺れ方は早くとか、音程は大きく変えてゆっくり揺らすとか……、一口にヴィブラートと言ってもいろいろあるわけです。さて、その場面に最も合うヴィブラートは思い浮かびましたか?

 あのですねぇ~、ちょっと脱線気味になりますが、歌について、ヴィブラートがかかっていると上手いという誤解のようなモノが世間にあると思うんですよ。でもね、実は音楽表現ってそんなに単純じゃなくて、ヴィブラートをかけない方が心に届く場合だってあるんです。それがあんまり理解されてないような気がするのです。  その場面に最も合うヴィブラートと言ったのはそのためで、たっぷりとヴィブラートをかけることができるからって、いつも同じようにかける人っているでしょ!? あれって全然違うと思うんですよ。その曲想によって使うべきヴィブラートってのがあるはずなんです。だから私が言いたいのは、まず最初にどういうヴィブラートをかけるべきなのか?という明確なイメージを持ちましょう!ってことなんですよ。ただかけるだけじゃダメなんです。

 もちろん、そのイメージそのものがわかないとか、判らないという場合もあるかと思います。それに関しては、いろんな音楽を聴きましょうとしか言えない自分が歯がゆいんですが、それしかないかもしれません。まあ、それにしても、仮にイメージが持てなくてもそれを考えるという習慣を持つということが大事でしょう。そして、イメージは持っているけどそれが上手く演奏できないというところまで来たのなら、ゴールは見えているわけですから、きっといつかできるようになるはずです。

 じゃあ、技術的な側面にいってみましょう。自分で練習した記憶がないので上手く伝えられないかもしれませんが、今、ギターを手に取ってどこにコツがあるのか真剣に検証してみました(笑)。え~と、どうやら私のやり方はですねぇ~、力を入れているのはヴィブラートをかけるために使っている指だけで、これはつまり弦を押さえるためだけに使っているのでした。でもって、左手の手首とか掌には全然力が入っていません。極端に言うと、ネックを握ってさえいなくても、使っていない指を完全に離してしまっても大丈夫な感じです。ふ~ん、こうやっていたんですね(笑)。たとえば薬指でヴィブラートをかけているときに、人差し指や中指を添えているとしても、そちらには全然力が入っていません。だから添えなくても同じようにできます。で、気づいたんですが、押さえている指を揺らしているというよりは、押さえている指を支点にして、左手全体を揺らしている感じですね。実はこれがコツかも!(笑)

 前から気になっていたんですが、ヴィブラートがヘタな人って、押さえている指だけを一生懸命動かしているように見えるんですよ。見た目はヴィブラートかけてるぞぉ~っ!って感じなんですが、肝心の音が揺れてねぇ~じゃん!って感じなんですよね。大体ネックもグッと握った感じになっていますし。これでは力もムダに分散してしまうし、押さえている指の可動域も小さくなってしまうでしょう。  う~ん、判ったかも!? 指の力は弦を押さえているだけで、音を揺らすのはそれ以外のリラックスしている左手全体の力を使ってやっているような感じです。ゴメンナサイ、確信は無いのですが、現時点で言えるのはこれです。

 というわけで、この講座で最初にした約束を果たしたいと思います。クラプトン・ファンの方がいたらゴメンナサイね!何故、私がクラプトンを“屁”とも思わないか書きたいと思います(笑)。

 クラプトンのギター・プレイを、私は良いと思ったことってほとんど無いんです。ギターを始めた時からず~っとなんですが。やっぱりあれだけ評価が高いですから、聴いた方が良いかな?と思って古いモノから新しいモノまでひととおり聴いたんですがね。何か全然私の心には響かないのです。

 で、実はその理由を自分なりに理解した出来事というのがあります。私が25 歳ぐらいの時だったと思いますが、ギター雑誌で“ギタリスト名言集”みたいな特集を組んだ号がありまして、それを読んでいたんです。クラプトンの言葉もいくつか載っておりまして、その中に、「ギターで一番難しいのは、実はヴィブラートかもしれない。」っていうのがあったんですよ。まあ私は当時からヴィブラートはテクニックの一つとして考えてもいなかったし、みんなからも上手いと言われていたのは、最初に書いたとおりです。ですから、この“名言”(?)を読んだ時に思ったのです。「うわっ!クラプトンってヴィブラートが難しいと思ってるんだ!?バカじゃねえの!」  というわけで、ヴィブラートが難しいと思ってるギタリストのプレイを、自分が良いと思わないのは当然だな!と自分なりに理解しました。そういうことだったのです。きっとジェフ・ベックはヴィブラートが難しいなんて死んでも言わないような気がします。ちょっと暴言かもしれませんが、お許しください!(笑)

 それでは、みなさん、頑張って下さい! また、お会いしましょう!

(2012/3/18)

Lesson12 自分の立ち位置を考える

 みなさん、こんにちは。早いもので当講座も12回目となりました。期間にすると3か月弱ですが、実際のところ、私がこれまで書いてきた練習法を確立したのは、それこそ何年もかかっていますので、焦らずに自分のペースで少しずつクリアしていってもらえればと思っております。“言いたいかも”のブログの方にも、実際的な譜例が出てきたりはしませんが、音楽に対する姿勢という面では、タメになることを書いていることがありますので、そちらの方も併せて御覧になっていただくとより効果的かと思います。っていうか、自分でも、「これってギター講座に書いた方が良くね?」と思うことが多々あるんですよね。ですから、今後はブログと重複することも書いてしまうかもしれません……。

 さて、今回はLesson 6の最後に予告した、「自分の立ち位置を考える練習」にします。予告してから随分と経ってしまっていて、そんな予告があったことさえ忘れてしまっている人が、ほぼ全員かと思います(笑)。実を言うと私も忘れかけていました。まあ、この講座がいかに無計画で進められているかが露呈してしまいましたね(笑)。 

■譜例9
譜例12

 ホント最近、譜例の少ないギター講座となりつつありますが、今回はちょっと長目の譜例です。気がついた方もいると思うのですが、これまでは基本的に左手の動きはフレットと平行の縦方向の動きしかなかったのに、遂に横方向にも左手が動くフレーズが出てきました。これまでは言ってみれば、どちらかと言うと右手、つまりピッキングの鍛錬に重きを置いてきました。この譜例はどちらかというと左手の動きに重点が置かれています。

 この譜例9は、譜例4で例示したパターンのワイド・ヴァージョンというかロング・ヴァージョンともいうべきモノで、4つの連続する音階をワンフレーズとして16分音符で上下動するというのは同じです。それを、ギターのほとんどすべての音域を使ってやってしまおうというわけです。譜例はGメジャースケールですが、CメジャーとかDマイナーとか、いろいろとやってみるのもナイスです。

 ただし、ここに表記したタブ譜のポジションは“絶対”というつもりではありません。この音階を弾くにあたって、ギターの場合だと何とおりもの弾き方があるわけです。要するに、音階を上がって(下がって)いく時に横に動くのか、それとも縦に動くのか、そのやり方にこれが絶対に正しいというパターンはないからです。この譜例は、とりあえず縦と横の動きの量をバランスよく配分するようにするとこんな感じかな!?っていうか、一般的かな!?というパターンにしています。このあたりは、各人でやりやすいパターンを模索していくと、それはそれで非常に練習になります。

「自分の立ち位置を考える」と言ったのはですね、まあ立ち位置ってのはご想像どおり左手の位置のことなんです。左手の4本のそれぞれの指の位置というか……。弾いてみると判りますが、スケールを上がっていく時はいかに上手いタイミングで薬指及び小指をスライドさせていくかが鍵になりますし、下がっていく時は人差し指と中指の位置をいかに上手く決めるか?ということが重要になります。

 指を横にスライドするのか、それとも縦に動かしていくのか?というのは右手のピッキングとの兼ね合いもあります。単純に横方向に動く時は、ピッキングする弦は同じわけですから右手にとっては楽になります。しかしながら、テンポがある程度速くなってしまうと右手は追いつけても、左手の動きが大変忙しくなってしまいます。縦方向の場合は逆で、左手の動きはポジション移動がない分楽ですが、右手は同じ弦だけをピッキングするわけではないですから、難しくなります。

 ちょっと観念的になり過ぎる言い方かもしれませんが、これだけ長いフレーズになりますと、ギターであってもやはり“息継ぎ”という感覚が必要になってくると思うんです。つまり、たとえば上がっていく時のフレーズでは、人差し指のポジションと弦がより高音の弦に移る時(3弦から2弦に移るというような場合)が“息継ぎ”になるという感じです。下がっていく時も、やはり人差し指が低音の弦に移る時が“息継ぎ”という感じでしょうか。

 まあ、言葉だけではなかなか理解しにくいと思いますので、とりあえずトライしてみて下さい(笑)。“息継ぎ”という感覚や“自分の立ち位置”ということに自覚的になれれば、将来的にアドリブに強くなれることは間違いないです!

 いつものように、まずはゆっくりとしたテンポで始めて、自分の指がギターの指板上を縦横無尽になぞっていく感覚をつかんで下さい。これを繰り返し練習していけば、右手も左手も非常に臨機応変に動くようになりますよ! 頑張って下さい!

(2012/3/25)

Lesson13 自分の立ち位置を考える パート2

 みなさん、こんにちは。前回の“息継ぎ”と“立ち位置”という概念は理解できたでしょうか? ここは意外と大事なところなので、今回はそのパート2の譜例をやっていきましょう。まあ、いつものパターンとも言えますが、前回の16分音符に続いて3連符ヴァージョンです。

■譜例10
譜例13

 前回はGメジャースケールでしたが、今回はCメジャースケールです。別に特に意味はありません。他のキーでやってみることも、もちろんOKです。3連符ヴァージョンの方が両手の動きの範囲が少ないので、こちらを先にとも考えたのですが、3連符の方が苦手な人が多いかなぁ~と思って、この順番にしました。

 やはり最初はゆっくりとしたテンポで始めて、自分の“息継ぎ”と“立ち位置”に自覚的になるように努めてください。指板の隅から隅までまんべんなく使うというのは、全体のタッチをコントロールするためにも、非常に有効な練習です。注意点は譜例9の時と同じで、横に動く時にいかに4本の指のポジションを上手くとるか?というところです。決まったやり方はないので、自分にとって最もやりやすいやり方を考えてみましょう。

 さて、ここらでちょいと雑談をしましょう。とは言っても、今回のは完全にギターの奏法についての話題ですから、ご心配なく(笑)。

 みなさんはロー・コードのDを押さえる時、左手はどういう指使いをしているでしょうか? 普通は1弦2フレットが中指、2弦3フレットが薬指、3弦2フレットに人差し指を使っているでしょう!? 間違いなく、どんなギター教則本もコード・ブックにもこう書いてあると思います。まあ、別にそれに正面から異を唱えようというわけではないのですが、私は……、ギターを始めた最初から人差し指と中指を逆にして押さえています。つまり1弦2フレットを人差し指、2弦3フレットを薬指(これはみんなと同じ)、3弦2フレットに中指を使っています。

 これは決して最初に間違えて覚えてしまって、そのままというわけではありません。正しいとされている押さえ方は知っていました。しかし、自分でいろいろと弾きながら試していった結果、通常とは人差し指と中指を逆にした方が弾きやすいと判断したのです。

 もちろん弾き始めたばかりのヘタな頃は、これでは後々不都合が出るかもしれないと考えていました。で、そうなったらいわゆる正しい押さえ方に戻そうとも思っていたのです。しかしながら、ギターを弾き続けて30年以上になりますが、やはり自分の押さえ方の方が都合が良いんじゃないか?という確信を深めております。

 もっとも、これまでに私と同じDコードの押さえ方をしているギタリストを、プロアマ問わず見かけたことは一度もありません(笑)。だから、自信を持って他人におすすめできないんですが、自分の中では、こちらの押さえ方の方が弾きやすいという考えにまったくもってブレはないです。

 これが“奥の手”とは言えないところが惜しい感じではありますが、私がここで言いたいのは、既成概念に囚われすぎないことも時には重要だってことなんです。ある意味、この私の他人と違うDコードの押さえ方は、自信にもなっているんですよ! これは言ってみれば、誰に教わるでもなく、自分なりに確立した奏法だからです(ちょっと大袈裟だけど)。

 ってなわけで、ヒマな時にでも私流のDコードをやってみてください。やりやすいと感じられるかは、全然保証できませんが(笑)。みなさん、また次回でお会いしましょう! ガンバッテください!

(2012/4/1)

Lesson14 一番大切なこと

 みなさん、こんにちは! 左手が縦横無尽に指板を駆け抜けているでしょうか? 前回と前々回の2回は実際にできるようになってくると、かなり楽しめると思うんですが、どうでしょう? それともやっぱり、基礎練習はツラいだけですか!?

 さて、今回はまた譜例なしでいってみます。実を言うとですね、この譜例なしの時って自分に凄いプレッシャーがかかるんですよ! 正直言っちゃいますと、譜例なしで話だけで他人の役に立つことを書くというのは、簡単ではありません。それなのに何であえて話だけの講座にするのかって言うと、単純にギターを弾いて技術を修得していくのと同じぐらい、ギターを弾く時の姿勢というか気持ちのあり方も大切だと私は考えているんですよ。それでまあ、そういったことに気づくきっかけになれればと思って頑張っているのであります。(敬礼!!)

 私が現在メインで使っているギターはレスポール・カスタムです。今日はどうしてこのギターが私のメインギターになったのか?ということをお話します。

 最初に手に入れたエレキ・ギターはヤマハのSF-7000というギターです。これはどういうギターか簡単に説明しますと、メイプルとマホガニーの3ピースのスルー・ネックでボディはメイプル・トップ、マホガニー・バック。ボディ形状はストラトキャスターの形ですが、チューン・オー・マチック・ブリッジで2ハムバッカー。つまり、ボディ構造はレスポール、形はストラトキャスターという感じのギターです。当時は和田アキラ氏とかも使っていました。スケールはロング・スケールで、これはストラトキャスターと同じです。

 高校生が最初に買うギターとしては、非常に高価(12万円)であって、現在も所有しております。とても気に入っています。今はあまり使いませんが……。で、私のギター講座に出てくるほとんどの練習パターンはこのギターとともに生み出されたのです。

 そのギターは4年間弾きまくられまして、大学生になった私はそろそろもう1本欲しいという気持ちが出てきました。高校生の頃よりもバイトも自由にできるようになったし……。というわけで、足繁く楽器屋に通うようになりました。

 次に買うのはこれだっ!と決めていたモデルは別になかったのですが、まあレスポールは漠然と欲しいギターのリストには入っていました。そしてある日、地元のよく行く楽器屋さんで黒のレスポール・カスタムを試奏したのです。

 当時は今のように円高ではなくて、アメリカ製のギブソン、フェンダーのギターってそれは高価なモノだったのです。ざっと言って通常のモデルのストラトが30万円、レスポールが40万円という感じです。25年以上前の話ですから、現在の物価に換算すると倍ぐらいになるかもしれません。

 それまで私は、レスポールのコピー・モデルはちょこっと弾いたことがありましたが、ギブソンの本物を弾いたことはありませんでした。ちょっとドキドキです! それでですねぇ~、初めて弾いた時に何に一番ビックリしたかと言うと、音の良さはもちろんなんですが、何と言ってもその“レスポンスの良さ”、音の立ち上がりの速さに感銘を受けたのです。

 弦を弾いた(はじいた)瞬間にくるあの「カキーン!!」という感じは、それまでに私が感じたことのないモノでした。もちろん、自分の持っているギターはロング・スケールで、レスポールはミディアム・スケールなんだから物理的に当然じゃん!?という意見もあるでしょう。確かにそのとおりなんですが、とにかく私はその時に、「自分の求めていたモノはこれだっ!」と思ったのです。

 その時に弾いたギターがトップ・ページの写真にある黒のカスタムです。白い方は後に友人から手に入れたモノです。どちらもピックガードがはずされていますが、私はピックがピックガードにあたった時の感触が、非常に嫌いなのでこうしております。でもそのせいで、当然ボディの塗装が剥げてきてしまいました(笑)。まあ仕方ないです。

 というわけで、私はレスポールの虜になりました。その豊かなブッといサウンドとかロング・サスティーンはもちろん魅力なんですが、何と言ってもその“レスポンスの良さ”がこのギターの一番の魅力だと思っています。何故か? それは私が音楽を演奏するということは、瞬間を捉えることの連続だと思っているからです。その瞬間を捉えるためには、このレスポンスの良さが凄く大事なんです。そんな大袈裟な!?って思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、私はストラトキャスターを弾いている時に、その音の立ち上がりが遅いことに、「ああぁ~っ!」って苛ついてしまうことがあります。もちろんそれはホンの100分の何秒とかしか違わないんでしょうが、確実にその遅れを感じ取ってしまうのです。

 私のオリジナル作品の中に「I'm here」という曲があります。これってスローなインストナンバーなんですが、この曲はレスポールのレスポンスの良さなしには、とても弾けないんですよ! レスポールを弾いてなかったら、この曲はきっと生まれてなかったでしょうね。そのぐらい瞬間を捉えることって私には大事なんです。

 つまり何が言いたいか?なんですが、私にとっては音楽は瞬間を捉えることの連続であって、それをやり遂げるためにレスポールをメインに使っているわけです。そこで、考えて欲しいのですが、みなさんにも、きっとこの私の“音楽は瞬間を捉えることの連続である”ということと同様の、音楽をやっていく上(ギターを弾く上)で大切だと思っていることがあると思うのです。それを一度考えてみましょう!という提案なんですよ。きっとあるはずなんです。そしてそれを意識することによって、また一つ先のステップに進めるようになると私は思っているのです。ホント、観念的な言い方になってしまって伝わりにくいかと思いますが……。

 というわけで、今後は質問もお受けしたいと思います。具体的な質問があれば上手く答えられるかもしれません。すべての質問に答えられるとは限りませんが、私でお役に立てることがあれば、喜んでそうしたいと思っています。トップページの“このサイトについて”のところから入っていただいて、そこにあるアドレスまでメールをして下さい。ぜひ、遠慮なさらずにどうぞ!

 それでは、みなさん、頑張って下さい。

(2012/4/8)

Lesson15 絶対サウンド

“絶対サウンド”ってのは、私自身が創った造語というか概念です。どういうことかと言いますと、たとえばギターの音だったら、「誰が聴いても良いと思えるギターの音!」のことです。しかしながら、これは非常に検証が難しい問題で、実際にギターの “絶対サウンド” を私が創り出した!やったよ、俺っ!というわけではありません(笑)。そうではなくて、そういう音が存在するであろうし、それを追求していく態度が大事なんじゃないか? ということが本日言いたいことなのであります。(敬礼!!)

 これは先日の私自身のブログ記事からの引用です。一部多少加筆した部分もあるんですが、まあブログということもあり、あまり突っ込んだことは書かなかったので、今回はこのことについて詳しく書いていきたいと思います。

 楽器を演奏する時に、「こういう音が出したい!」という明確なイメージを持つということが大切だということは、これまで当講座で何度か言ってきたとおりです。さて、ここで言う「こういう音」というのは、ぶっちゃけて言ってしまえば人それぞれです。個人にとっての嗜好というモノは、こと音楽に関しては多様だからです。

 それでもですねぇ~、嗜好は多様だとか言っておいて矛盾しちゃうかもしれないんですが(笑)、“大多数の人が素晴らしいと思う音”ってのが、この世にはあると思うんですよ! それがここで言う“絶対サウンド”なんです……。で、ブログで書いた時にちょっと誤解を招いた可能性があるんですが、これは決して唯一無二であるということが言いたいのではないんです。1個かもしれませんし、それこそ100個くらいあるかもしれません。大事なのは“大多数の人が素晴らしいと思う音”であって、それが一体いくつあるのかは判りません。ちょっと無責任かもしれませんが。

 ギターやスネアドラム、ピアノなどのそれぞれの楽器に、きっと“絶対サウンド”があるのではないか?イヤ、きっとあるはず!と私は思うんです。だから、楽器を演奏したり、楽曲を制作したりする時には、常にその“絶対サウンド”を意識しつつ演奏・制作しなければならない!!“絶対サウンド”が存在するという仮定のもとで、音楽はやらねばならないんじゃないか?と思っているのです。

もちろん、結果として、それぞれの楽器の“絶対サウンド”を創り出すことができないこともあるでしょう。でも、最低限それを目指すという姿勢は忘れてはならない!ということは言い切ってもイイんじゃないでしょうか!? 人前で演奏したり楽曲を発表したりするというのであれば。

 う~ん、書いてて自分で「何だよっ、コイツ偉そうに!」って思えてきました(笑)。ホントにこれはギター講座なのか!?って感じにもなってきちゃいました。それどころか、最近の当講座は脱・初級中級者のためだったはずなのに、何か上級者向けになっているような気がします。でもゴールは同じですからカンベンして下さいね。

 音楽は嗜好が種々雑多だとはいえ、そういった各人の嗜好を超えたところに、ある種、議論の余地のない良い音がきっとあるはず!それを考えてみよう!ってことですかね。簡単に言うと(笑)。う~ん、最初からそう言えば?(笑)

 音楽ってスポーツとは違って、勝ち負けがはっきりしないので、何かと“それもアリ”ってのが安易に受け容れられやすいのですよ。それも含めて音楽の楽しみ方だって言われちゃえばそれまでなんですが。でもねぇ~、それっていつも私はイラッとくるんですわ。それを言っちゃオシマイだろっ!! まあそこに“甘えずに”一度突き詰めていってみましょう!ツラいことが待ってるかもしれませんが……。でもそうしていくと、良い演奏や良い楽曲ができた時の達成感もまた格別なんじゃないかな?とも思います。ゴメンナサイ!上手く言えませんが、こんな感じです。

 今回は非常に哲学的(?)になってしまいました。ギターの奏法とは直接関係ないかもしれません。でも大きなくくりとしてはアリだと思ってますので……、っていうか自分のサイトなんだから当然か(笑)。

 みなさん、頑張って下さい。質問も随時お待ちしております!

(2012/4/15)

Lesson16 ピッキング集大成

 みなさん、こんにちは! またもや2回続けて観念的な話になってしまい、困ってしまった人もいらっしゃるかもしれません。でもねぇ~、こんな感じでやりたいんですよ(笑)。それと、以前にも書きましたが“言いたいかも”のブログ・コーナーも併せて参照して下さい。こちらは当初スポーツについての戯言が多かったんですが(笑)、このところ音楽についての記事が増えております。何だかギターに限定するよりも、こっちの方が上手く言えることが多いような気がしてきましたので、どうぞこちらも御覧になって下さい!

 というわけで、今回はオルタネイト・ピッキングの集大成と言うとちょっと大袈裟ですが、普通にやりがいのあるモノになっています。「普通に」とあえてことわりを入れたのは、たとえば技術的を向上させるための練習パターンって、考えればそれなりに思いつくモノなんです。だって、自分が弾きにくいをモノを探せばいいのですから。ですから普通じゃない大変なパターンならいくらでも思いつくのです。ただし、そのパターンがいくら将来的に役に立つであろうと思えるモノでも、弾いていて楽しくなくては続けることは難しくなってしまいます。そういう意味で、今回のパターンに対して「普通に」とことわりを入れました。それなりに音楽的なフレーズであるので、飽きがこないで続けられるかと思います。

■譜例11
譜例11

 16回目の講座なのに、譜例11とは何て譜例が少ないのでしょう!?(笑)  というわけで、これは3連符で6個の音を1フレーズ、それを上昇下降します。例によって譜例は7フレットを基点としたGメジャースケールですが、別のポジションに移動してもやってみましょう。ポイントは、1フレーズが3本の弦を使う箇所が出てくることと、それに続くフレーズで、弦飛びで戻らなくてはならない場合が出てくることです。たとえば1小節目の3、4拍目のフレーズの最後の音は4弦ですが、2小節目のアタマで6弦に戻らなくてはなりません。これは非常に正確なオルタネイト・ピッキングが要求されます。

 ですからホント焦らずに最初はゆっくりと正確に弾くことを心がけて下さい。右手のストロークも慣れるまでは意識して大きめにとってみると良いかもしれません。理想はこれまで出てきた他の3連符のフレーズをやる時に一緒にやって、テンポも同時に上げていけるのが良いですが、このパターンは難しいでしょうから、まったく別のモノとしてやるのもアリです。たとえば、練習の一番最初にテンポ=100ぐらいから140ぐらいまでを指慣らしとしてやるのも良いでしょうし、一番最後に気合いを入れてテンポ=200ぐらいを目指してやるのも良いでしょう。

 ピッキングの練習パターンの基本的なモノはこれでほぼ終了です。今後はまたちょっと変わった方面へと行く可能性がありますが、どうぞお付き合い下さい。というわけで、今回は難しいですが頑張って下さい。質問もお待ちしております。 

(2012/4/22)

Lesson17 真実は弦高とともに

 みなさん、こんにちは! 今回もこの一風変わったギター講座にお付き合い下さい。冒頭からこんなこと言うのは、今回も譜例なしの上に、ちょっとねぇ~、自分でも奇抜な意見かもしれないと思ってるんですよ、今回のは……。

 というわけで、タイトルにもあるとおり弦高の話をします。

 私のギターを他人が弾くとかなりの頻度で、「うわっ!お前のギター弾きづらい! 何よこれっ!?」と言われます。え~と、私のギターは弦高がかなり高めなんです。まあ一般的には、“弦高が高い=弾きづらい”と思われていますので、その感想は間違っていないのでしょう。

 自分のギターの弦高が高いことは気づいていました。もちろん理由があってそうしているわけで、それは後から説明します。ところで、みなさんは弦高のセッティングをどのようにしておこなっているでしょうか?

 極めて簡単に言ってしまいますと、 「6本すべての弦のどこのポジションを押さえてもビビリが出ない高さまで下げる」 そうです、弦高が低い方が押さえやすいですから、可能な限り弦高は下げた方が弾きやすいと考えられています。ちなみに弦のビビリはピッキングの強さにも関係してきます。ピッキングのタッチが強い方が、弦の振幅が大きくなりますから、当然ビビリが出る可能性も高くなります。

 さて、じゃあ普通の人はどのぐらいの弦高なのか?ということを調べてみました。  どうやら、「6弦12フレット上で弦とフレットの隙間が2ミリ程度」これぐらいが普通のようです。これは信頼できると思われるウェブサイトで調べました。で、自分はどれぐらいなのか気になったので測ってみましたところ、4ミリ弱ありました。やっぱり私の弦高はかなり高めなようです(笑)。

 私のギターはネックの状態がイマイチで、そのぐらい弦高を上げないとビビリが出てしまうというわけではありません。ピッキングは強いのである程度は高さが必要ですが、実際にはもっと下げても大丈夫です。では何故そうしているのか? 最初の方で書いたように理由があるからで、それを今から説明します。

 ギターを弾く時にみなさんが考えることってなんですか? っていきなり何なのよ?って感じですが、できるだけ上手く弾こうと考えますよね? そりゃ当然です(笑)。ところで、その上手く弾くという大きな一つの概念の中には、“リズムが正確”とか“タッチが正確”とか“音が良い”とかのいくつかの要素が含まれています。

 道具としてのギターを考えた時に、良い演奏をしやすいギターとは、「弾きやすくて音が良いギター」なのは間違いありません。さて、私のギターは弦高がかなり高いのですから、“弦高が高い=弾きづらい”ということになってしまいます。でも、私にとっては“弾きやすい”ギターなんですよ。別に単に好みとして高めの弦高が好きだというワケではないのです。

 弦高が高いことのデメリットは、最初に言ったように押さえづらいことです。では弦高が高いことのメリットを考えてみましょう。

 一般的に弦高を上げるとテンションがキツクなって、音の立ち上がりが良くなってシャキッとした音になります。いわゆるアタッキーな音とでも言いましょうか。実は「弦高を上げた方が音が良くなる!」というのは、まあ大抵の人は賛成してくれるんです。これはメリットですね。

 そして次が私にとって非常に重要なポイントなんですが……、ハンマリングやプリングをやる時のことなんですけど。え~と、弦高が高いとこうしたフィンガリングがやりにくくなるってみんな考えてるでしょ!? でも実はそうでもないんです。というのは、ハンマリングにしろプリングにしろ、弦高が高い方が、「叩きしろ」と「引っかけしろ」が多いので(言ってること判りますか?)、より正確に音が出やすいんです。いいですか? 2ミリ上から叩きつけるより、4ミリ上から叩く方が弦がフレットを叩く力は大きくなるでしょ!? それからプリングの場合もそうですが、引っかけて離した時に、弦が大きく振れるのは弦高が高い方ですよね!?

 みなさんが問題にしているのは、弦高が高いと押さえること自体が大変になるということなんですよね!? でもね、結果として出音が良くなるということを考えると、一考の価値があるような気がしませんか!? だって、弦を押さえる指の力なんてそんなに大した力を使うワケじゃないではありませんか!「握力がないとギターを上手く弾けない」と思ってる人がタマにいるんですが、全然そんなことありません。ギターに使う握力なんてしれてます。上手く押さえられないことを握力が足りないせいだと思っている人は、きっと逆に力が入りすぎているんですよ。

 ヴィブラートやチョ-キングの場合も弦高が高いことに因るメリットがあります。そうです! 単純に言って弦高が高い方が弦を指に引っかけやすくなります。さらに加えると、テンションが上がって弦の反発力が強くなるのですが、これを上手く利用することができます。つまり弦を押し上げるとそれに反発して弦が戻ろうとします。この作用反作用を上手く使うことによって、高速なヴィブラートがかけやすくなります。やってみると判るんですが、押したのに戻ってこなければまた押し返せないでしょ!? この“弦が戻ってくる力”を上手いこと利用するのです。

「テンションがキツクなったらチョーキングがやりづらいじゃん!?」って思うかもしれませんが、指に弦を引っかけやすくなるので、その分でテンションがキツクなるのは相殺できるぐらいの感じです。

 つまり私は良い音を出すために弦高を高くしているのです。で、ちょっと屁理屈っぽくなるんですが、これはつまり、“簡単によい音が出せるギター”とも言えるわけです。ですから私にとって弦高が高いギターってのは決して“弾きづらいギター”ではなくて、むしろ“弾きやすいギター”なんですよ!つまり結果として私は「弾きやすくて音が良いギター」にするために、弦高を高くしているんですね。

 それはお前がただの変わり者だからだと話を終わりにしないで下さい(笑)。実を言いますと、他人のギターを弾かせて貰った時に、「うわっ!スゲ~弾きやすい!」と思うこともあります(笑)。弦高が低い方が押さえやすいというのは私でも同じなんですよ。でもだからと言って、やっぱり自分のギターの弦高は下げないんですよねぇ~。やっぱりあのシャキッとしたレスポンスというのは自分のギター・スタイルには欠かせないモノなんですわ。

 弦高自体を上げ下げするのは、それほど大変でもないですから、一度ダマされたと思ってダマされてみて下さい(笑)。まあ以前も書きましたが、既成概念に囚われないで何かをやってみると、世界が変わるかもしれませんので、一度試してみるのもイイかもしれません。「弦高が高い=弾きづらい」ワケではないという話でした。みなさん、頑張って下さい! 依然質問もお受けします! 

(2012/4/29)

Lesson18 叩くのじゃ!引っかけるのじゃ!!

 さてみなさん、ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたでしょうか!? ひたすらギターを弾いていた人もいたでしょうが、実は出かけていて、「俺、1週間ギター触ってない!!」って人もいることでしょう。というわけで明日からは普通の日常が戻ってきますので、五月病(死語?)にメゲずに頑張っていきましょう!

 前回の弦高の話、どう思われました!? 試してみた人はいるでしょうか? きっと躊躇するんじゃないかと思うんです。だったら余計なこと言うなよ!って感じでもありますが、ある程度高めの弦高で、ハンマリングやプリングをやる時の、

「パチッ!」

とした感触が私は好きですし、音の立ち上がりが非常に良くなります。フィンガリングの音が正確に出ないという人は試してみる価値があると思います。もっとも、7フレットより上のバレーを使ったハイコードを弾く時に、左手が疲れますけど……。それとフィンガリングの音はなるべく滑らかに出したいという人には、ちょっと向かないかもしれません。まあ、すべての奏法に都合がよいセッティングなんて多分存在しないでしょうから、一つの例として考えていただけたらと思います。

 ってなわけで、前回弦高の話をしたのは今回の前振りなんですよ! そう、今回はハンマリングとプリングの練習パターンです。これまでは基本的にフル・ピッキングの練習ばかりでした。どうしてそうしていたかと言うと、ギターの音はほとんどがピッキングの良し悪しで決まってしまうからです。で、これまではある程度右手に神経が集中していたと思うのですが、ここまでの譜例をひととおり弾いてくれば、自然と左手も鍛えられているはずです。実際のところ、左手はそんなに苦労しなくても動くようになります。ですから右手をまず初めに鍛えることに重点を置きました。実はこっそり左手の鍛錬もやっていたわけですが……(笑)。

 では左手用(?)のフレーズをいってみましょう!

■譜例12
譜例12

 テンポは60ぐらいからがイイんじゃないかと思います。6連符で一つのフレーズですが、ピッキングが入るのは6個の音の最初と最後の音だけであります。(敬礼!!)変な言い方かもしれませんが、

「叩いて上がって引っかけて戻ってくる!」感じです(笑)。

 譜例では同じフレーズを2回繰り返して移動していますが、慣れるまでは同じポジションで4回とか8回繰り返してもけっこうです。それとは逆に繰り返さずに1回ずつで移動していくというのにチャレンジするのも良いかもしれません。ところでみなさんが一番苦労するところは、きっと2小節目の最初のフレーズです。

 一番最後のフレーズだけは、普通にやると左手の指は4本すべて使いますが、その他のフレーズは4本のうちの3本を使うことになるでしょ!?で、大抵は人差し指、中指、小指のトリオで弾くことになりますが、2小節目の最初のフレーズ(3番目のフレーズ)だけは人差し指、薬指、小指のトリオで弾くのが普通です。

 お気づきでしょうが、薬指と小指のコンビってのが難しいのです。ですから、このフレーズだけ重点的にやるのもイイでしょう。またこれとは別に、薬指と小指のトリルを練習しておくと効果的です。

 さて、上手く弾けますか? こういったフレーズを上手く弾けない人は、大抵左手に力が入り過ぎてます。そういった人をよく見かけます。きっとしっかり音を出そうと、弦を叩くこと引っかけることに力を入れようとするんですね。その結果、むしろ左手の指で叩くことや引っかけることよりも、ネックを握る方に力が入ってしまったりしています。前回の講座でもちょっと触れましたが、ギターに握力は必要ありません。っていうか“ネックを握る”という概念自体を捨てちゃってもイイくらいです(笑)。これホント!!

 最終的にはテンポ=100越えを目指しましょう。フル・ピッキングじゃないですからテンポ=120ぐらいまでできちゃう人もいるかもしれません。もしそうなったら当講座ともお別れですね(笑)。さて、「俺、ゆっくりよりもむしろ多少早いテンポの方が上手く弾けるんだけど」って人がいるかもしれません。こういうフレーズにありがちなんですが、それはきっと勘違いです。そんなことはあり得ません。単に多少速いテンポになるとごまかしが利くようになるだけです。弾けているようなつもりになれているだけなんです!!というわけで、みなさん頑張って下さい。質問もお待ちしてます! 

(2012/5/6)

Lesson19 叩くのじゃ!引っかけるのじゃ!! パート2

 みなさん、お元気でしょうか!? 前回の「叩いて上がって引っかけて戻ってくる」感じはいかがでしたでしょうか!? ひょっとして弦高を上げてみた人っているでしょうか!? いねぇ~か?っていうか、

「前より全然できなくなった!」

って人もいたりして……。まあこれは、“時には発想の転換も必要かも”っていう提案だったりするので、これが必ずしも正しいということではありません。何かをやり遂げるためには、何とおりかのアプローチがあると言いたいんです。ですから、「弦高を上げたら、やっぱり無理そう」と感じたのでしたら、とっとと元の弦高に戻して下さい。“試しにやってみる”ぐらいに考えて下さい。

 さて今回は前回のパターンをもう一歩踏み込んだパターンにしましょう。「叩いて上がって引っかけて戻ってくる」というのは同じです。ただ前回はハンマリングとプリングをやるのは1弦だけでしたが、今回は1弦と2弦のどちらも使います。

■譜例13
譜例13

 今回も6連符ですが、今度は12個の音で1フレーズになります。で、ピッキングが入るのは、1、4、7、12番目の4つの音だけです。キーは何故かCメジャーになっていますが、もちろんこれは左手の指使いを考慮してこうなっています。ちょっと意地悪ですね。多分、同じ音から始まるGメジャーでやった方が簡単でしょう。つまりタブ譜上で2弦6フレットになるところを7フレット、1弦13フレットになるところを14フレットにするとGメジャーになります。もちろんこちらをやってみるのも良いでしょう。ただ、あえてCメジャーにしてある理由は、2小節目にあります。人差し指のポジションが1弦と2弦で違うというのがちょっとポイントです。もちろんこれは意地悪ではなくて、言ってみれば“親心”のようなモノです(笑)。

 これはですねぇ~。左手に力が入っていると難しいんですよ。つまり最近再三言っている「左手には力を入れない!」ということを、実践してもらいたいのです。ホンのちょっとの移動なんですが、左手に力が入っているとかなり難しくなります。ぜひこのフレーズにトライしてみて、「左手に力が入っていないかチェック!」をやってみて下さい。

 テンポは前回同様、テンポ=60ぐらいからが良いかと思います。そして徐々に上げていって、またテンポ=100前後を目指してみましょう!このフレーズも「早いテンポの方ができるような勘違い」に陥りがちです。さらに言うと、もしこのフレーズをアンプに繋いで、しかもコンプやディストーションなんかをたっぷりかけて弾いたりしたら、実際にきちんと弾けているかどうかなんてサッパリ判りません! そういうこともあるので、生音で練習するのって効果があるんですよ。先日“言いたいかも”のブログの方に「イメージして弾く」という記事を書いたんですが、こちらの方に生音で練習するメリットってのを詳しく書きましたので、併せて参照してみて下さい。

 というわけで今回も「叩くのじゃ!引っかけるのじゃ!!」を頑張ってみて下さい。質問もお待ちしています。

(2012/5/13)

Lesson20 叩くのじゃ!引っかけるのじゃ!! パート3

 みなさん、お元気でしょうか!? 困ったことに私はヘトヘトです(笑)。ちょっと前に“言いたいかも”ブログに書いた「謎の肩痛」がまだ完治していないのです。で、ある動きをすると痛みが走るので、右肩周辺の動きが限定されるために、なんか身体の右側が固まった感じになっております。私は元来“肩こり”とはまったく無縁の体質なんですが、“肩こり”とはこんな感じなんでしょうか!? ちなみにギターを弾くことに関しては、何も問題ありません。っていうか、むしろ立ってギターを弾くと、いくぶん身体がほぐれた感じになって、調子良くなってきます。

「お前はギターを弾いて弾いて弾きまくるのじゃぁ~っ!」

という神のお告げかもしれません。いや、私は無神論者です。って何の話をしているのでしょうか!?

 前回と前々回の「叩くのじゃ!引っかけるのじゃ!!」はどうでした!? それなりに大変だったことでしょう。というワケで、それに追い打ちをかけるべく(笑)、さらに一歩踏み込んだパターンを今回はやってみましょう。

■譜例14
譜例14

 ってなワケで、今回も似たようなパターンですが、3本の弦を使って叩いて引っかけてみましょう! 譜面を見れば理解できると思いますが、ピッキングは弦が換わる時だけ、12個の音で1フレーズの1、4、7、12番目の4音だけです。前回の譜例13と譜割もピッキングのタイミングも同じですが、今回は3本の弦にまたがるので、左手が忙しくなります。

 ポイントはやはり左手の力加減です。力は決して入れすぎず、しかしながら効率良く左手の指先に集中させるのです。こういった動きではやはり薬指と小指のコンビネーションが鍵になります。ですから1小節目と4小節目が難しいかもしれません。この2つだけをそれぞれ単独で重点的にやるのも良いでしょう。それがある程度できるようになってから、4つのフレーズを繋げて弾くようにするのです。

 当講座ではギターにも“息継ぎ”という概念があると書いておりますが、この譜例などは“息継ぎ”という概念を感じるにはうってつけかもしれません。

 テンポはやはり6連符ですのでテンポ=60ぐらいから徐々に速くしていってみましょう。ただ、どちらかと言うとこのパターンは速く弾けることよりも、正確に弾けることに重点を置く感じでやった方がイイです。ですからこの譜例に関しては、“左手の指慣らし用”として、しばらくの間は自分のできるテンポに固定してやるのも良いかもしれません。

 というわけで、またもや叩いて引っかけて頑張って下さい。質問も随時お待ちしております!

(2012/5/20)

Lesson21 フィジカル・トレーニング 

 みなさん、こんにちは! 私の謎の肩痛は未だに治りませんが、一応普段は痛みを感じることがなくなる程度には良くなりました。もっとも、ある種の動きをしたはずみに、まだ痛みは感じるんですが……。不思議なことに、ギターを猛練習して“もうヘトヘト”って状態の時は肩の調子がイイ感じになります。単に他の部分が疲れ果てているから、相対的に痛みを感じないだけだったりして(笑)。Mな私の場合はその可能性も否定できなかったりして……。

 というわけで、3週続けて左手の練習をしてきましたが、いかがでしたでしょうか!? はっきり言って簡単ではなかったと思います。さて、さんざん左手に激務を強いておいてなんですが、今回はまたピッキングの練習に戻ってみます。イヤイヤ、戻ってみますってのは正確じゃありませんね。だって、きっとみなさんは、これまでの練習パターンも併せて継続して練習しているであろうと思うからです。日を追うごとに練習パターンが増えていくだけのことですな(笑)、実際のところは。ところで、ブログの方も相変わらず音楽に関しての暴言、迷言を書き殴っておりますので、ひょっとしたらツボにハマル記事もあるかと思いますので、「言いたいかも」の方も忘れずチェックしてみて下さい。

 さて今回なんですが、普段私がやっている練習の応用編というか、枝葉の部分というか、結果としてこれまでにやってきたパターンの復習というか……。まあ、そんな感じのパターンです!

■譜例15
譜例15

 16分音符のフル・ピッキングで、8個の音で一つのパターンになります。そしてこれは左手も4本すべての指を使うパターンになっています。何となく“聴いたよう”なフレーズでしょ!? 隣り合った弦でのピッキングですから、特に難しい感じはしないと思います。もちろんそれなりの目的があってそうしているのですが、このパターンは主にスピードを養うというか慣れることに着眼点を置いています。たとえばサッカー選手が練習の時に、「10メートルダッシュ!」をやるような感じかもしれません。(ホントか!?)

 この譜例では4つのポジション移動しかしていませんが、続けてもっと上まで移動していけばグッドですし、さらに戻ってきたりすると尚更ナイスな感じです。ついでに言うと譜例では同じフレーズを2度繰り返していますが、繰り返さずに1回ずつでポジション移動してしまうのも良いです。そうするとかなり“男前”な感じです(笑)。加えて言うと、アップ・ピッキングから入るパターンも練習すると、みんなから尊敬される日も遠いことではないかもしれません。とにかく最初はゆっくりのテンポから始めるのは同じですが、これまでのパターンとは違って“ガァ~ッ!!”とした勢いで駆け抜ける感じでトライしましょう!!

■譜例16
譜例16

 さて、さんざん“ガァ~ッ!!”とした勢いでとか煽っておいて、譜例16です。実は音列は譜例15と同じです。しかしながら、これは以前にやった“リズム・トリック”であります。(敬礼!!) どうでしょう!?こちらも“ガァ~ッ”とイケルでしょうか!? まあ要するに、このパターンはスピードに慣れることに主眼を置いてますが、どうせだからリズムの方もコントロールしちゃいましょう!ってことです。こちらでもポジション移動やアップ・ピッキングから入るパターンをやってみましょう。きっと譜例16の方が難しく感じるでしょうが、きちんとできるようになると、相当リズム感がアップします。

 というわけで、今回は何となくいつもと違って、フィジカル・トレーニングに重きを置いたような感じにしました(笑)。というわけで頑張って下さい! 質問も随時お受けしております。 

(2012/5/27)

Lesson22 フィジカル・トレーニング パート2

 みなさん、こんにちは! 今週はめでたく新曲が発表されています。まあ、はっきり言っていつものことですがレコード会社は関係ありません(笑)。私が見捨てられているのは相変わらずであります(敬礼!!)。しかしながら、私はひたすら曲を書いてギターを弾いて、ブログを書いてホームページを更新し続けると心に決めておりますので、このまま突き進むしかありません。ただ、いくら私がMとは言っても、時にはキツクなりますけどね………。とか、一瞬同情を引こうかとも考えましたが、全然私は元気です。ええ、肩痛は直ってません(笑)。身体に無理を強いた時の方がほぐれて調子が良いのも相変わらずです。と脱線しかけたところで、新曲の話に戻りますが、これまでとはちょっと変わった感じの曲です。でもサビのメロディには命をかけています! 作詞もさんざんのたうち回りました! ってわけでぜひ聴いて下さいね!! ブログの無駄話の方も4か月以上毎日欠かさず続いておりますので、併せて御覧下さい!

 さて前回に続き今回も“フィジカル・トレーニング”その2なんですが、こういうひたすら機械的に(?)ギターを弾くってのもそれなりに大切です。いくら頭の中でイメージが完璧にできていても、実際にそれに両手が応えてくれなければどうにもなりません。ところで、このLessonの順番なんですが、一応私なりに難易度順のつもりなんですが、人によっては後の方のLessonの方が「簡単じゃん!?」ってこともあると思います。ですから、一応ざあ~っと目を通してから、自分にとって簡単に感じるものからやっていってもかまいません。ただし、「自分ができるモノだけ」をやっていても上達しませんよ!

■譜例17
譜例17

 フル・ピッキングで3連符です。もちろん常にオルタネイトで。3パターンのフレーズから構成されていて、徐々に難しくなっていきます。当然3番目のフレーズが一番難しいかと思います。最初はゆっくり“右手のストロークを正確に”ということを意識して弾いてみて下さい。これまでいろいろな練習パターンで、

「最初にアップ・ピッキングから始める」

というのをやってきましたが、それがきちんとできていれば、こういったパターンでも“恐るるに足らず”って感じではないでしょうか!? しかし、3番目のフレーズは思いっきり弦飛びが入りますので、それなりのテンポで弾くのは難しいかもしれません。右手の動きにできるだけムダをなくすのが鍵となってきます。頑張ってチャレンジして下さい。

■譜例18
譜例18

 と苦労させた後に……、更にもう一段階の意地悪です。いや親心です(笑)。  すべて弦飛びです!しかも3連符です。っていうか、左手と右手のコンビネーションというかシンクロ具合ってのを、このフレーズでイヤになるほど確認して下さい。結局はどんなフレーズであっても、左手と右手がシンクロしていなければどうにもなりません。最終的にはアタマもシンクロしなくちゃならないんですが、これぞ“フィジカル・トレーニング”って感じかもしれません。言い忘れましたが譜例17、18ともに、例によってポジションを平行移動してやってみて下さい。ポジションによる右手の感覚の違いが把握できて、非常に効果的です。

 というわけで今回も“シゴキ”のような練習パターンでしたが、感性とともにこういった「体力的な」能力も同時に磨いていきましょう! 頑張って下さい! 質問もお待ちしてますね!!

(2012/6/3)

Lesson23 アドリブへの一歩?

 みなさん、こんにちは!! いよいよ梅雨の時期ってことで、ギターを弾くのも億劫になりがちです。しかしながら、以前“言いたいかも”の方で、「技術の維持」ってタイトルで書いたことがあるんですが、楽器の技術ってちょっとサボるとたちまち“無かったこと”にされちゃいます。少しずつでもイイですから、継続的に練習をすることを心がけましょう! これが大事です。

 さて、当講座もそろそろ終わりが近づいて来ました。さすがにもう20回を超えていますんで、予想していた人もいるかもしれません。これが50回とかあったら、最初に見た瞬間にやる気が失せてしまうでしょうな(笑)。私は毎週更新して、新たな課題を出しておりますが、実際に譜例を見て練習しているみなさんの立場になってみると、この課題は月に1回くらいのペースが妥当かと思います。だからこちらの更新ペースについてこられないからって焦らないで下さいね。もし、「俺はついて行けてるよ~ん!」って人がいたら、きっとあなたは天才です!! ギターを弾くために生まれてきたような人かもしれません。というわけで、現在次の企画を鋭意考慮中であります。(敬礼!!) もし、みなさんに、

「こういうことをやって欲しい!!」

という提案でもあれば、メールを下さい。非常に助かります!

 さて、2回続けて“フィジカル・トレーニング”をやってきましたが、肉体は解放できたでしょうか!?(笑) 今回もちょっとそんな感じなんですが、これまでにやってきた“いちヴァリエーション”というべきモノかもしれません。

■譜例19
譜例19

 16分音符のフル・ピッキングです。慣れるまではこんがらがってしまうかもしれません。まずはゆっくりのテンポで、両手にフレーズを覚えさせると良いです。もちろん、きちんと譜面を追いながら両手が確信を持って動くのであれば言うことありませんが(笑)。今回もいろいろなポジションでやってみましょう。ってもう判ってますね!?

 こういうフレーズは、アドリブの中の一要素として取り入れられることがよくあります。このフレーズはちょっとだけチャレンジングで、そんなに退屈じゃないでしょ!? けっこう楽しめるかなぁ~?って私は思えるんですが。前回と前々回の“ガァ~ッ”という感じよりは音楽的でしょう。

 というわけで、今回はちょっとだけ“知性”を感じさせるフレーズ(そうか?)でした。左手が上手いことバラバラに動くようになることでしょう。では、頑張って下さい! 質問、新企画の提案等、両手を広げてお待ちしています!!

(2012/6/10)

Lesson24 こういうのは好きでしょ?

 みなさん、こんにちは! ギターを買うなら6月がイイ!!とか、ネックが太いとか細いとかガタガタ言ってんじゃねぇ~よっ!!って感じの鈴木浩憲がお送りするギター講座であります。(敬礼!!) ちょっとキャラが変わってね!?という気もしますが(笑)、このところブログの方のバカさ加減はとどまるところを知らずって感じで、相変わらず突っ走っておりますので、忘れずに“言いたいかも”もチェックして下さいね。

 さてそういうわけで、もう残り少なくなってきた当講座ですが、決して格好つけるつもりもないんですが、「ギターの鍛錬に終わりは無くね!?」という感じがしまして、一体最終回はどのように収束するのか??ってのが自分でも判らなくなりつつあります。(敬礼!!あっ!?この場合は違うか) もちろん、次に「スゲ~んだよ!!これこそがみんなが待ち望んでいた企画!!ギタリストは読むべし!読むべし!!」とかいう企画を思いついていれば、さっさと本講座を終了しても良いんでしょうが、そういう企画はまだ思いついていません(笑)。ってなわけで、みなさまのご提案もお待ちしてます!!

 これまでの譜例をざぁ~っと読み返してみて、これを全部やるのってけっこう大変ですな!と自分で思ってしまいました(笑)。でもね、これをやってきたからこそ私は売れないミュージシャンになれたんですよぉ~。ほんのちょっとだけ説得力がありますよね!?(笑)

 では今回も張り切っていってみましょう!!

■譜例20
譜例20

 え~と、こういうのってみんな好きでしょ!? スウィープ・ピッキングでやろうとしたそこのアナタ!イヤイヤ、オルタネイトで弾きましょう。もちろんテンポを高速にしてスウィープで弾くというのも一つの練習としてはアリです。私もスウィープなんて実際には自分の楽曲の中で使ったことありませんし、今後使う予定もほとんどありませんが、実はこっそり練習していたりはします(笑)。でもここはオルタネイトできっちり弾いて、自分のピッキングの正確さを確立させましょう!というのがこの練習の主旨であります。(敬礼!!) とにかく“正確に”ということを最優先に、確実にできるテンポから始めて下さい。こういうフレーズってごまかしながら弾いていても、全然上達とは関係無いです。

■譜例21
譜例21

 譜例20にもう一ひねり加えて、4弦まで使いました。更に正確なオルタネイト・ピッキングが必要になってきます。左手の方も正確な押弦が必要になってきます。こちらも“ごまかさない”ことを念頭に置いて確実にできるテンポから弾きましょう。でもフレーズ的には退屈ではないと思いますので、繰り返し弾くのもそれほど苦痛には感じないのではないでしょうか。ピッキングをする時に、自分はどの部分が苦手なのかってのを確認しながらやってみましょう。苦手なことを自覚することは、結局進歩に繋がっていきます!

 この講座を読んでくれている人には朗報ですが、今回の譜例ってかなり上手いと思っていた人でもけっこう弾けなかったりしますよ。だからここはちょっとしたチャンスです!っていうか実はこれまでの譜例にもけっこうあるんですけどね。というわけで、他の人に差をつけるためにも頑張って下さい。質問、提案、抗議(笑)何でも受け付けていまぁ~す!!

(2012/6/17)

Lesson25 想像力(創造力)を刺激せよ!

 みなさん、こんにちは!! “アンチ・VOS仕上げの会”ってのがあったら、会長を引き受けてもイイぜぇ~っ!!(笑)ってくらいVOS仕上げが嫌いな鈴木浩憲がお送りするギター講座でございます。このところ“言いたいかも”ブログの方もおかげざまでアクセス数が伸びてきまして、私のギター観(?)も徐々にバレつつあるところです。この、ちょっと変わったギター観を上手く使って、他人を出し抜いてみましょう!(笑)ってのがこのギター講座の肝ですから、「えっ??」と思ったことでも一度は試してみましょう。もちろん、これは私の方法論ですから必ずしもみなさんに合った方法とは限らないのですが、とりあえずやってみることによって、みなさんに合った別の方法論が見つかるということもあるはずです。それはそれで、けっこうなことじゃないですか!?

 さて、当講座も終わりに近づいたとかほざいておりますが、次なる企画は未だ検討中であります。(敬礼!!) 何かアイデアがあったら私に恵んで下さい、お願いします!! ということで、今回は難しいですよぉ~。でも楽しめると思いますが……。

■譜例22
譜例22

 左手と右手、どちらも鍛錬しましょう。右手はもちろんオルタネイトで。左手の4本の指のコンビネーションがそれなりに大変でしょ!? 右手も3本の弦にまたがるので正確なオルタネイト・ピッキングが要求されます。まあ、ピアノの教則本のハノンみたいなパターンとでも言いましょうか。リズムもピッキングも、そしてもちろんフィンガリングも正確に弾かないと全然意味がないので、きちんと正確に弾けるテンポから始めて下さい。正確さを確認しつつ徐々にテンポを上げていければ、相当な基礎力を獲得できることは間違いありません。さて、じゃあこの譜例22が弾けるようになったとします。そこでちょっと考えてみましょう。

 譜例22を弾いてみて、「もっと別のパターンも考えられるじゃん!」って思った人。アナタは鋭いです!っていうか、そういう考え方ができれば、もう上達へのチケットを手に入れたも同然かもしれません。例えば、

■譜例22b
譜例22b

 こんな感じで右手のピッキングは同じだけれども、左手のポジションを入れ換えるパターンってのは、ちょっと考えれば思いつくはずです。そしてこの譜例22b以外にも左手を入れ換えるだけでかなりのパターンがあることに気づくはずです。もっと踏み込んで言えば、さらに右手のピッキング・パターンも換えたりすると、それこそ無限に近いくらいの練習パターンができてしまいます。こういう風に自分で応用パターンも考えることができる人は上達も非常に早いのです。講師である私が提示したパターンだけをやるのではなく、

「俺はもっと難しいパターンをやっちゃうよぉ~ん!!鈴木なんて目じゃねえぜ!!」(笑)

ぐらいの勢いでやって頂けると、私としても練習パターンを提示した甲斐があったというものです!!(涙)

 これまでに出てきた譜例でも、ちょっとした応用パターンを思いつくようなモノがあります。あることができるようになったら、「ここから更に膨らませて、何かできることがないか?」と考える習慣をつけると、自分の想像力(創造力)全般を伸ばすことができます。まあ、これまでも再三言ってきたかもしれませんが、「考えてやろうよ!」ってことですな!!

 というワケで、今回はここまでです。質問、新企画の提案、抗議等々受け付けています(笑)。頑張って下さい。

(2012/6/24)

Lesson26 終わりってことで。感謝です!

 みなさん、こんにちは! 全然それっぽくないですがもう夏です(笑)。早いもので当ホームページが始動してから、半年が経ちました。当講座も週に1本ずつ書いてきてその数も25本になったのですね。この講座に載せてきた練習用譜例は、私が16歳~22歳ぐらいまでの間に考えたモノです。もちろん、誰かのプレイからヒントを得たものもありますが、基本的には全部自分で考えたモノです。

 約6年かけて考えたモノを、半年で一気に紹介しましたので、更新ペースに沿って練習するのは、まあほとんど無理だったでしょう(笑)。イヤ、私も判っているんですよ。とにかく、みなさんに私を知っていただく一つの方法として、突っ走ってきただけですから……。ってなワケで、みなさんは自分のペースでじっくりと取り組んで下さい。大丈夫です! 私がレコード会社から切られようが(っていうか、一度でもうちの会社はこのサイトを見たことがあるのか疑問!)、それとは全く関係なく、私が死んでしまう(笑)とかいうことでもない限り、この講座はインターネット上の当サイトに載っているでしょうから。何度でも繰り返し足を運んで下さいね!!

 ギターに限らずどんな楽器でも、上達するのはけっこう大変です。ただ、ピアノなどとは違って、エレキ・ギターはまだまだ歴史が浅いこともあって、上達するためのメソッドがまだ完全には確立されていません。ですから、その盲点を突いていこうというのが当講座のアプローチでした。譜例パターンはともかくも、エレキ・ギター、音楽に対する考え方において、他では教えてくれないことをなるべく書こうとしてきたつもりです。上手く伝わっているといいのですが……。講座の途中でも再三書いてきましたが、“言いたいかも”のブログにもギターについて沢山の記事を書いてきました。こちらも併せて読んでいただくことによって、普通じゃないギター講座になったと自分では思っております。けっこう自分でも、「これをバラしちゃうのは、自分のアドヴァンテージがなくなっちゃうかも!?」と思う瞬間がかなりあったのですが、私のギター・プレイ、スタイルって自分で言うのも変ですが、

「アマチュアを含めたすべてのギタリストのレベルが上がった方が、評価される!」 

ような気がするんです(笑)。ですから、全ギタリストのレベル底上げのために、惜しげなく秘密をバラしたという感じなんですよ!! そう、結局は自分のためになるんじゃないか!?という判断だったのです。みんなが得するんなら言うことナシじゃん!?って感じです。

 ネタばらしってことで、私のプレイを元に具体例を挙げておきますね。“Drive”のテーマ部分や前半の左右チャンネル、ギターのかけ合いでの右チャンネルのソロなどは、まさにLesson6の弦飛びとLesson 7のリズム・トリックのトレーニングが生かされている部分ですし、“I need you”のギター・ソロでのヴィブラートの違いはわかるでしょうか? これを聴いてLesson11を振り返ってもらえるとより納得できるのではないかと思います。ぜひ、復習のつもりで聴いてみて下さい!!

 次なる企画はまだ検討中ですが、当サイトは何らかの形で更新を続けていきます。ですから変わらぬご愛顧をお願い致します。これまで当ギター講座にお付き合い下さいまして、ありがとうございます!! 質問等は今後も随時お受けしておりますので、お気軽にどうぞ。 アナタのギター・プレイが、アナタの心をふるわせるとともに、いつか誰かの心にも届く日が来ることを願っています。

(2012/7/1)